研究課題/領域番号 |
21K15196
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
瀧川 健司 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 主任研究員 (60749274)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | GABA / 蛍光プローブ / シナプス / イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
GABAは、脳内神経活動のブレーキ役を担う主要な神経伝達物質であり、高次脳機能を支えている。また、GABAの放出異常は精神神経疾患を引き起こす原因として注目されている。しかし、GABA開口放出の制御機構には不明な点が多いため、GABAによる脳機能の調節機構や精神神経疾患発症の分子機構の詳細はよくわかっていない。本研究では、GABA開口放出を単一シナプスレベルで計測する蛍光イメージング技術を確立し、シナプス前部の分子の空間配置を数十nmオーダーで捉える超解像イメージング技術と組み合わせて用いることで、どの分子がGABAの放出特性を制御しているのかを特定し、GABA開口放出の制御機構に迫る。
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研究実績の概要 |
当該年度では、単一シナプスレベルでのGABA蛍光イメージングを可能にする高性能なハイブリッド型のGABA蛍光プローブの開発に取り組んだ。高性能なハイブリッド型のGABA蛍光プローブの開発は、GABA結合タンパク質上に標識する蛍光色素の最適な位置を探索することで行った。その際、網羅的に探索する場合と比べて、GABA結合タンパク質の立体構造情報をもとに探索する標識位置の数を10分の1程度に絞り込むことで、最適な標識位置の探索を効率化した。GABA結合タンパク質には、先行研究からGABAに結合することが報告されている細菌由来のタンパク質を採用した。また、蛍光色素には、外界の環境に応じて蛍光のON/OFFが切り替わる環境感受性蛍光色素を採用した。これらを材料に、システイン点変異を導入した組換えタンパク質を大腸菌発現系にて取得し、チオール基と特異的に反応する環境感受性蛍光色素を標識することでGABA蛍光プローブ候補を作製した。蛍光プローブ候補を効率的に作製するために、昨年度にGABA蛍光プローブのスクリーニングに最適化したHyFInDスクリーニングシステムを用いて、36種類のシステインの点変異体と、2種類の蛍光色素との組み合せからなる72種類の蛍光複合体を作製した。単一シナプスレベルでのGABA蛍光イメージングを実現する上で蛍光強度変化の大きい蛍光プローブが望ましいため、GABA添加によって惹起される蛍光強度変化を指標にスクリーニングを行った。その結果、GABAに応答して蛍光強度が2倍以上変化する高性能な新規GABA蛍光プローブを10種類取得することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に計画していた複数種類の高性能な新規GABA蛍光プローブの取得に成功し、単一シナプスレベルでのGABA蛍光イメージングに適用可能なGABA蛍光プローブの開発を順調に進めることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
取得した新規GABA蛍光プローブを培養神経細胞に標識する手法を構築し、シナプス前部から開口放出されるGABAを単一シナプスレベルで計測するGABA蛍光イメージング技術の確立に取り組む。必要に応じてHyFInDスクリーニングシステムを用いて蛍光色やGABAに対する親和性の異なる新規GABA蛍光プローブの開発に取り組む。
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