研究課題/領域番号 |
21K15197
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分46020:神経形態学関連
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
長内 康幸 自治医科大学, 医学部, 講師 (90758004)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | AAV / オリゴデンドロサイト / 弱毒化狂犬病ウイルス / 透明化 / 狂犬病ウイルス / 遺伝子発現リーク / 越シナプス性標識 / グリア細胞 / 運動学習 / 長期記憶 |
研究開始時の研究の概要 |
脳に存在する細胞であるオリゴデンドロサイト(以下OL)の分化・成熟を止めると運動学習や長期記憶が出来なくなることが知られている。近年の研究でOLは複数の神経細胞の出力を同期させることで記憶・学習を成立させる可能性が示された(Yamazaki et al., J Neurosci, 2019; Kato et al., Glia, 2020)。しかしOLがどの様に神経活動を同期させるのか不明であり、記憶の成立・保持のプロセスにおけるOLの動態が分かっていない。そこで本研究ではOLと神経細胞を同時に標識する手法を用いてOLがどの様に運動学習や長期記憶を成立させているのか明らかにする。
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研究実績の概要 |
オリゴデンドロサイトと神経軸索の可視化をすることにより、どの領野のオリゴデンドロサイトが疾患時にどの様に変化しているかを確認することが出来る。我々は今まで弱毒化狂犬病ウイルスとアデノ随伴ウイルス(AAV)をマウス脳の白質に注入することによりオリゴデンドロサイトを可視化してきた(Osanai et al., Glia, 2017, 2018)。この手法は標的脳領域のオリゴデンドロサイトを高精細に観察するために強力なツールであるが、広範囲のオリゴデンドロサイトを可視化することは難しく、疾患時などにどの脳領野のオリゴデンドロサイト-神経間の結合が破綻するのかを観察することは困難であった。そこで我々は組織透明化手法とウイルスベクターまたはトランスジェニックマウスを組み合わせることで新規のオリゴデンドロサイト-神経軸索同時標識法を開発した。この手法を用いることで脳全体または対象領域のオリゴデンドロサイトの形態を調べることが出来る。この手法を用いることで幼少期に暗所飼育したマウスでは視神経の髄鞘が短くなり、この髄鞘の異常は暗所飼育後に正常飼育した成熟マウスでも継続して観察されることが明らかになった。この発見により幼少期の環境刺激の現象が成熟マウスの髄鞘の形態に異常をきたす事が明らかとなった。この成果はNeurochemical Research誌に2022年8月6日に掲載された。またオリゴデンドロサイトの可視化についてまとめた総説はFrontiers in Cell and Developmental Biology誌に2022年10月24日に掲載された。我々が開発した新技術を用いることで、特に疾患時にどの領野のオリゴデンドロサイトが変化するのかを明らかにすることが可能になると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
透明化技術を応用した新規オリゴデンドロサイト-神経軸索同時標識法の開発に成功し論文として報告した。一方で弱毒化狂犬病ウイルスがどの様な経路でオリゴデンドロサイトから神経細胞に移行できるのかについては明らかにできていない。既に実験に必要な弱毒化狂犬病ウイルス、AAV作製に必要なプラスミドは入手しているため、早急にAAVを作製し、最終年度にはまだ誰も発見できていない弱毒化狂犬病ウイルスがオリゴデンドロサイトから神経細胞へ移行する経路を同定する。
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今後の研究の推進方策 |
新たに開発した、透明化技術とウイルスベクターもしくはトランスジェニックマウスを組み合わせる方法を用いて、髄鞘形成不全障害の際に特に影響を受ける脳領域を同定する。我々が開発した方法を用いればオリゴデンドロサイトの形態異常、軸索の投射や形態の異常、神経活動の異常までも検出することが出来る。現段階で既に髄鞘形成不全時に特に神経活動が低下する脳領域を同定しつつある。加えて弱毒化狂犬病ウイルスとAAVを用いて、オリゴデンドロサイトと神経細胞がどの様な経路を介してコミニケーションしているかを明らかにする。この際にはTanaka, Ohno, Osanai et al. (Glia, 2021)で使用した3D電顕を用いてウイルスが移行する経路を同定する。本研究によりオリゴデンドロサイトが正常時と病態時にどのように脳高次機能の発揮に寄与しているかを明らかにすることが出来ると期待される。
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