配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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研究実績の概要 |
本研究では,線虫C. elegansをモデル生物として有害刺激からの回避行動を制御する神経回路機能の解明を目指し,昨年度までに介在神経の回路AIA, AIB, RIB, RIMが回避行動の発現を制御していることを明らかにした.本年度は,介在神経AIA, AIZ, RIB, RIMの化学シナプス伝達を阻害した際の,刺激に対するAIBのCa2+応答の相関解析を行うことにより,AIA, RIB, RIMがAIBの応答のばらつきを増加させることが明らかになった.その機構を線虫全脳イメージングにより明らかにするため,3次元情報の撮影が可能なライトフィールド顕微鏡の開発に着手した.通常の蛍光顕微鏡の光学系で本来の結像位置に極小レンズが敷き詰められたマイクロレンズアレイを挿入し,さらにガルバノミラーを光路の途中に置き,マイクロレンズアレイ上で像の微小移動を可能とした.この微小画像シフト法によってライトフィールド画像の高解像度化に成功し,線虫全脳の神経細胞1つ1つを見分け,神経活動の取得を達成した.取得した70細胞の神経活動時系列データを主成分分析により次元削減すると,全脳の活動は低次元空間で周回性の軌跡を描いて周期変化した.すなわち,全脳の活動状態は周期的な変化をしており,刺激入力時のタイミングによってどんな応答を返すかが決まるのではないかと予想される. 本研究により,従来の感覚神経から運動神経までのフィードフォワードな神経伝達モデルとは異なる,周期変化する全脳活動と外部刺激の統合によるランダムな応答生成という新しい神経情報処理モデルが提案される.また,高解像度なライトフィールド顕微鏡による全脳測定の達成により,従来の共焦点顕微鏡や2光子顕微鏡による高コストな3次元全脳撮影の低コスト化を実現できた.
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