研究課題/領域番号 |
21K15217
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
坂田 樹理 東北大学, 薬学研究科, 助教 (20772700)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | インドール / アマニチン / アマニアミド / アマトキシン / アルカロイド / オキシム / 全合成 / インドールアルカロイド / ADC / デュオカルマイシン |
研究開始時の研究の概要 |
近年、合成化学を基盤とする創薬研究の役割は小分子の合成から、複雑天然物の全合成、誘導化、化学修飾型タンパク質製剤の合成まで多岐に渡り、それらに対して一様に対応できる柔軟かつ堅牢な合成手法の開発が求められている。そこで、本研究課題は、インドールアルカロイド(4000種以上単離)の母核となるインドール骨格に注目し、申請者が開発した「オキシムスルホナートの環拡大反応を活用するインドール合成法」を基盤に、複雑天然物の全合成、誘導化に取り組む。また、抗体などの巨大タンパク質を選択的な修飾可能な方法論に発展させ新規ADC合成法に応用し、全合成とは全く異なる切り口から多角的な視点で創薬研究に取り組む。
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研究実績の概要 |
令和4年度は、強力な抗腫瘍活性を示す環状ペプチド天然物群であるアマトキシン類の合成研究、特にアマニアミド の全合成ついて重点的に検討した。結果、ベンザイン中間体、およびアミノ酸由来の光学活性アミノアルコールを含むケテンシリルアセタールとの[2+2]環化付加反応を利用してベンゾシクロブテノンを含むトリプトファン前駆体、およびシステインを両末端に有す鎖状ペンタペプチドの迅速かつ量的な供給法を確立した。さらに、環状ペンタペプチド部分の合成に関して、ベンゾシクロブテノンオキシムホナートの環拡大反応を分子内マクロ環構築法に発展させ、トリプタチオニン架橋を含むマクロ環構造の構築に成功した。さらに本反応の反応条件について重点的に精査し、再現性よく進行する条件を確立した。また、令和4年度は本インドール合成法を応用したデュオカルマイシン誘導体の合成にも着手した。これを実行するにあたり、新たに亜リン酸エステルより発生可能なアニオン種を求核剤として用いた2-ホスホリルインドール合成法の開発を行った。結果、二十種以上の新規2-ホスホリルインドールの合成に成功し、基質一般性および官能基共存性に関して十分な知見を得ることができた。さらに、本2-ホスホリルインドール合成法は、多官能基化されたデュオカルマイシンの左セグメントの中間体の合成にも問題なく適用可能であった。これにより、ホスホン酸エステルおよびホスホン酸を導入した新規デュオカルマイシン誘導体数種の合成法の開発に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り令和4年度に実施予定であったアマトキシン類の合成研究に関して検討を行い、環状ペンタペプチド部分の合成に成功した。これにより、アマニアミド の全合成まで、あと数工程のところまで迫ることができた。したがって概ね順調に進展していると判断した。また、デュオカルマイシン誘導体の合成に関しては、2-ホスホリルインドール合成法の開発から天然物誘導体の合成までを令和4年度内に完了できたため概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、残された課題である二環性オクタペプチド構造の構築、およびトリプトファン部位の修飾について重点的に検討し、アマニアミド の全合成を達成する。また、論文投稿の準備を進める。さらに、他のアマトキシン類、α-アマニチンなどの合成にも着手する。デュオカルマイシン誘導体の合成に関しては、令和4年度に合成を完了したデュオカルマイシン誘導体の活性および物性の評価を行う。また、アマニアミドの合成研究の過程で開発した2-チオインドール合成法を応用し、さらに多様なデュオカルマイシン誘導体の合成を進める。
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