研究課題/領域番号 |
21K15227
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
中嶋 龍 広島大学, 医系科学研究科(薬), 助教 (70816602)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | PSMA / 前立腺がん / PET / 構造活性相関 / 創薬研究 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、前立腺がんの新たな診断手法としてPSMAリガンド用いたPET診断が注目を集めている。本研究では、これまで臨床試験が行われてきたPSMAリガンドのほとんどがアミノ酸のリシンを母骨格としていることに着目し、リシンとは異なるアミノ酸を合成原料とし、その詳細な構造活性相関研究を行う。得られた結果から有望なPSMAリガンドの選定を行い、前立腺がんのPET診断薬および化学療法薬への応用が可能な新規PSMAリガンドの創出を試みる。
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研究実績の概要 |
前立腺がんは日本国内の男性がん別罹患者数が第一位であり、高齢化とともに罹患率が上昇するため、高齢化社会の日本において最も注意しなければならないがんの一つと言える。既存の前立腺がんの診断方法(PSA血液検査等)は精度が低い傾向にあり、精度の高い診断方法の確立が急務である。近年、PSMAと呼ばれる膜抗原が通常の前立腺細胞と比較し、前立腺がん細胞に100-1000倍過剰に発現していることが判明したことから、このPSMAに結合するPSMAリガンドを放射性同位体で標識したPET診断が注目を集めている。PSMAリガンドを用いたPET診断の臨床試験結果から、前立腺がん陽性的中率は既存の診断法を比較して非常に高いだけでなく、前立腺がんから転移したがんの発見も可能であることが報告されている。研究代表者は、2-アミノアジピン酸というアミノ酸を出発原料とする新規PSMAリガンドが従来のリシン(アミノ酸)由来のPSMAリガンドと比較し、より高い結合能を有する傾向にあることを報告している。このようにPSMAリガンドを形成しているアミノ酸の種類を変えることで、PSMAリガンドの結合能を向上させることが可能なことから、本研究では様々なアミノ酸を有する新規PSMAリガンドを合成し、PSMAリガンドに最適な構造を見出すことを目的としている。最適な構造が見出すことができれば、前立腺がんの所在を早期発見するためのPET診断薬として利用可能なだけでなく、前立腺がん細胞に選択的に作用する化学療法薬としてのPSMAリガンドの創出が可能になると考えられる。現在、新たに設計した2-アミノアジピン酸由来の逆アミド型PSMAリガンドの骨格構築に成功したので、それから更に逆アミン型PSMAリガンドやN原子上の置換機の異なる誘導体の合成を行い、その最適構造を探索している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに2-アミノアジピン酸由来の逆アミド型PSMAリガンドや逆アミン型PSMAリガンドの基本骨格の構築を達成したので、その構造活性相関を調査すべく、それらのアミドやアミンのN原子にメチル基やベンジル基を導入したPSMAリガンドを合成した。 その結果、ベンジル基を有する誘導体が高いPSMA結合能を有することを見出した。また、これまでのPSMAリガンドとは全くタイプの異なるPSMAリガンドを合成するために、PSMAリガンドの基本骨格を構築する新規アミノ酸の合成を試みた。その結果、数種の新規アミノ酸の合成を達成し、それらをグルタミン酸とウレア結合で結合させることで、新規PSMAリガンドの基本骨格を合成することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
基本骨格の合成に成功した全くタイプの異なるPSMAリガンドの誘導体合成とその基本骨格の側鎖部位を変化させた誘導体を合成し、そのPSMA結合能を評価することで構造活性相関を明らかにし、これまでの2ーアミノアジピン酸由来のPSMAリガンドと比較して、どちらが有望であるか判断を行う予定である。
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