研究課題/領域番号 |
21K15238
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田原 進也 東北大学, 薬学研究科, 助教 (00783060)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 液-液相分離 / 自家蛍光 / 蛍光異方性 / 神経変性疾患 / ポリQ病 / 凝集 / タンパク質凝集 / 無標識観測 / タンパク質変性 / 溶媒環境 / 蛍光寿命イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
液-液相分離は細胞内に高濃度タンパク質液滴を生じる現象である。液滴の形成は疾患の原因となったり、代謝反応の制御に関与する。本研究では液滴中のタンパク質の周辺環境やコンフォメーションをラベルフリーで調べることができる紫外励起蛍光寿命・異方性イメージング装置を構築する。この装置を用いて代表的な液滴形成タンパク質の液滴内におけるコンフォメーションを調べる。さらにこれらタンパク質が他のタンパク質や核酸と相互作用したときのコンフォメーション変化を明らかにする。得られた結果からタンパク質の液滴形成によってどのような細胞内現象が引き起こされるのか明らかにし、疾患の発症や代謝制御との関連性を議論する。
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研究成果の概要 |
神経変性疾患原因タンパク質が液-液相分離を起こすと、凝集が促進される。本研究では相分離により生成した液滴中のタンパク質の凝集に伴う構造変化や液滴の物性変化を検討した。自家蛍光寿命・異方性顕微鏡を構築し、マシャドジョセフ病原因タンパク質ataxin-3や筋萎縮性側索硬化症原因タンパク質FUS LCの液滴をラベルフリー測定した。得られた結果から液滴内におけるataxin-3の凝集に伴う逐次的な構造変化が明らかとなった。またFUS LCの液滴内部の粘度が時間とともに増大することを示し、液滴からゲルや凝集体への相転移を定量的に追跡できる可能性を提示できた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
自家蛍光・異方性顕微鏡を開発し、液-液相分離により生成した液滴内のタンパク質の構造や状態を観測することに成功した。従来法と異なり、本手法はラベルフリーかつ液滴のままの状態でタンパク質凝集や液滴の物性変化を定量的に評価できる。 Ataxin-3は通常の溶液中で線維化するが、液滴内では異なる構造の凝集体が形成された。このことはataxin-3の毒性がLLPSによって変化する可能性を示唆しており、マシャドジョセフ病の治療法開発に極めて重要な知見となる。また液滴内の粘度に基づき、ゲル化や凝集を観測することにも成功した。このことは疾患の進行を定量的に判断する指標にもなると考えられる。
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