研究課題/領域番号 |
21K15250
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
|
研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
瀬川 尋貴 科学警察研究所, 法科学第三部, 研究員 (80778978)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 覚醒剤 / ラマン分光 / 規制薬物 / 結晶構造 / 異同識別 |
研究開始時の研究の概要 |
法科学分野における異同識別は、種々の分析法により得られた情報を基に検査試料と対照試料の間に差異があるか否かを明らかにする方法である。本研究ではこれまで法科学分野では着目されていなかった試料中の分子の構造・状態について、分子が作るマクロな構造を鋭敏に反映する低振動数ラマン分光法を用いて明らかにする新しい鑑定手法を提案することを目標とし、測定装置の開発、国内で最も深刻な乱用薬物の一つである覚醒剤およびその関連化合物を中心とした規制薬物への手法の適用を試み、その有用性を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
令和4年度の研究実績を大まかに分類すると以下の2点である。(1)測定系の構築と最適化。(2)覚醒剤および代表的な増量剤であるジメチルスルホンの既存装置でのラマンスペクトル測定。 (1)測定系については体積型ホログラフィックブラッググレーティングフィルターを利用した光学系を組み上げたが、所要の性能を達成しなかったため原因の追究を行った。原因については概ね特定できたことから、必要な部品を追加で調達し、現在も継続して装置の性能改善に取り組んでいる。 (2)結晶試料の測定については、覚醒剤単体のほか、ジメチルスルホンと混合した溶液から結晶化させて得られた試料の測定の際、マッピング測定におけるスペクトルの空間依存性が強かったことから、偏光測定を実施した。その結果、覚醒剤については分子振動に由来する偏光解消が主に観察されたのに対し、ジメチルスルホンについては結晶格子の異方性に由来すると推測される偏光解消が主に観察された。このことから、ジメチルスルホンを含有する結晶については、スペクトルの強度の解釈には慎重さが求められることが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
子の出生に伴い育児休業等を取得していたこと、また、新型コロナウイルス感染症の影響で延期されていた研修をまとめて実施したこと等の事由により、当初の予定どおりエフォートを割くことができなかったため。
|
今後の研究の推進方策 |
必要な性能を達成する光学系を迅速に構築する。光学系が完成次第、まずは覚醒剤メタンフェタミンの低振動数スペクトルの測定と、結晶のキラリティを変化させた場合のスペクトルの変化を測定する。指紋領域や赤外吸収の情報も加味して、異同識別鑑定法としての有用性を評価する。あわせて、覚醒剤原料のひとつであるメチルエフェドリンについても既存装置を用いた測定のほか、低振動数ラマンスペクトルの測定を行う。
|