研究課題/領域番号 |
21K15256
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
豊島 かおる 東北医科薬科大学, 医学部, 助教 (80846931)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | スフィンゴミエリン / スフィンゴ脂質 / CD8T細胞 / 細胞膜脂質 / TCRシグナル伝達 / 細胞膜 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞膜は脂質二重層を基本構造とするが、その脂質組成は生物種、組織、細胞などにより大きく異なる。近年では病態に伴う細胞膜脂質組成の量的、質的変化も報告されており、個々の脂質分子の役割は未だ不明な点も多く残されている。本研究では主にウイルス感染や腫瘍において細胞障害性の機能をもつCD8T細胞の細胞膜構成脂質の一種(スフィンゴミエリン)の病態生理学的意義の解明を目的とし、T細胞の機能異常に起因する疾患に対して、細胞膜脂質成分を利用した新規診断法や細胞膜脂質発現の調節を介した新たな治療法の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
スフィンゴミエリン(SM)は細胞膜構成脂質であるスフィンゴ脂質の一種で、コレステロールとともに脂質マイクロドメインと呼ばれる微小領域を形成し、膜を介したシグナル伝達に重要な役割を果たすと考えられている。しかし、CD8T細胞におけるSMマイクロドメインの機能はほとんど知られていない。本研究ではCD8T細胞におけるSMマイクロドメインの生理的機能を明らかにし、T細胞の機能異常に起因する疾患に対して、細胞膜脂質成分を利用した新規診断法や細胞膜脂質発現の調節を介した新たな治療法を確立することを目指している。 これまでにSM存在下でT細胞抗原受容体(TCR)刺激したCD8T(SM(+)CD8T)細胞ではIFN-gamma産生量の低下が認められている。本年度はSM(+)CD8T細胞のIFN-gamma産生量の低下が与える影響を個体レベルで解析するため、SM(+)CD8T細胞を卵白アルブミン(OVA)誘発型喘息モデルマウスに移入し、気道局所の好酸球性炎症を評価した。気管支喘息においてCD8T細胞はTh2型免疫応答を抑制することが知られており、SM(-)CD8T細胞移入群では気道局所の好酸球性炎症抑制効果が認められたが、SM(+)CD8T細胞移入群ではその作用が減弱していた。 SMは肥満によって質的および量的な変化が生じることが報告されており、今回得られた結果から肥満によるSMの増加はCD8T細胞の気道局所の好酸球性炎症に対する抑制効果を減弱させる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
OVA誘発型喘息モデルマウスへのSM(+)CD8T細胞移入による好酸球性炎症抑制効果の減弱メカニズムはSM(+)CD8T細胞のIFN-gamma産生量の低下によるものと考えられるが、気管支肺胞洗浄液中のIFN-gamma濃度は変化が認められず、直接的な結果が得られていない。OVA誘発型喘息モデルマウスから採取した気管支リンパ節細胞とSM(+)CD8T細胞の共培養する系を立ち上げ、詳細なメカニズムを解析する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
OVA誘発型喘息モデルマウスから採取した気管支リンパ節細胞とSM(+)CD8T細胞を共培養し、培地中のサイトカインの測定、共培養後のCD8T細胞のTc1/Tc2バランスの解析を行う。また、共培養時に抗IFN-gamma抗体を添加した場合も同様に検討し、SM(+)CD8T細胞の好酸球性炎症抑制効果の減弱メカニズムについて詳細に解析する。
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