研究課題
若手研究
申請者は腸内環境に大きく影響する因子として、幅広く知られている食物繊維ではなく、他の栄養素により新たな腸活のスタンスを解明できるのではないかと考えた。栄養素の中で、我々の研究グループの研究成果および従来の報告により、ビタミンB1の摂取が腸内細菌群集に大きく影響する可能性について考えた。申請者は研究グループの協力のもと、マウス実験で、ビタミンB1の欠乏が腸内細菌叢および酪酸の産生に大きく影響することを確認した。そこで、申請者は、ビタミンB1と腸内細菌との関連についてヒトコホートを用いて解明し、そのメカニズムを明らかにすることで、健康科学を理解する上でも重要な知見を提供し、社会的に貢献する。
腸内細菌に影響する食事成分として食物繊維以外の栄養素により新たな腸活のスタンスを解明するため、コホートデータを用いて栄養摂取と腸内細菌叢間の関連解析を行った結果、ビタミンB1とRuminococcaceae間で関連があることを確認し、in silicoパスウェイ解析によって、属する細菌は生存に必要にもかかわらず、自らビタミンB1の合成ができないことを解明した。さらに、酪酸産生にも影響することを明らかとし、ビタミンB1欠乏エサ飼育マウスを用いた解析結果と共に、論文投稿、国際学会にて報告した。また、機械学習を用い、酪酸産生には酢酸、ビタミンB1摂取、酪酸産生菌が独立して影響することを明らかとした。
本研究では、健康意識の高いコホートデータを用いて、栄養摂取と腸内細菌との関連を網羅的に調査し、ビタミンB1の摂取が特定の腸内細菌の腸内での競争力に影響すること、様々な作用で健康と関連する酪酸産生に影響することを疫学的に明らかにし、in silico、in vivoでの検証まで行った。さらに、機械学習にてビタミンB1の摂取が独立して酪酸産生に影響することを確認した。健康意識の高いヒトを対象としていることから、バランスのいい栄養摂取状況の中で、効果的である可能性が示唆されたことには意義がある。また、体への負担も大きくない素材であるため、一般的な現代人が行える効果的な腸活として提案できる。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
Nutrients
巻: 14 号: 10 ページ: 2078-2078
10.3390/nu14102078
https://microbiome.nibiohn.go.jp/