研究課題/領域番号 |
21K15278
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47040:薬理学関連
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
國澤 直史 大阪医科薬科大学, 薬学部, 助教 (10858096)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | Phf24 / てんかん / Gタンパク質共役型受容体 / GABAB / 代謝型グルタミン酸受容体 / GPCR / 行動薬理学 / てんかん原性 |
研究開始時の研究の概要 |
Phf24は、3量体Giタンパク質のαサブユニットと特異的に相互作用する機能タンパク質であり、Gi/o共役型GPCRの機能制御に寄与している。中枢神経系におけるPhf24の詳細な機能は不明であるが、Phf24欠損ラットにおいてけいれん感受性の亢進およびてんかん原性の獲得促進が認められることから、Phf24がてんかんの発症・治療に深く関与していることが示唆されている。 本研究では、Phf24欠損ラットを用いた行動薬理学的研究、神経化学的研究、脳波解析を行うことにより、てんかん病態におけるPhf24の役割解明、ならびにPhf24あるいはGPCR系を標的とした新規てんかん治療法の考案、提示を目指す。
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研究実績の概要 |
Phf24は、Gi/oタンパク質共役型受容体の機能調節を担っていることが知られているが、その中枢神経系における詳細な機能は未だ不明である。一方で、Phf24がてんかん病態に深く関与していることが示唆されていることから、本研究ではPhf24のけいれん感受性制御機構を解析している。そして、これまでにPhf24欠損ラットのけいれん感受性亢進には大脳皮質、扁桃体、海馬、視床領域の神経過剰興奮が関与していること、Phf24欠損ラットの扁桃体において脱分極刺激時の興奮性神経伝達物質グルタミン酸および抑制性神経伝達物質GABAの遊離機能が亢進していることを明らかにしてきた。 本年度は、Gi/oタンパク質共役型受容体であり、シナプス前終末において神経伝達物質の遊離を制御しているGABAB受容体、グループII型代謝型グルタミン酸(mGlu)受容体に着目し、それらの作動薬がPhf24欠損ラットのグルタミン酸遊離およびGABA遊離におよぼす影響をin vivo microdialysis法により評価した。その結果、GABAB受容体作動薬バクロフェンとグループⅡ型mGlu受容体LY-379268はいずれもPhf24欠損ラットにおける脱分極刺激時のグルタミン酸遊離およびGABA遊離を対照(F344)ラットと同程度まで抑制した。 したがって、Phf24欠損ラットにおけるグルタミン酸およびGABA遊離亢進には、シナプス終末のGABAB受容体やグループⅡ型mGlu受容体の機能低下が関与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・Phf24欠損ラットのけいれん感受性亢進に関わる脳内部位を特定することができた。 ・Phf24の欠損による興奮性神経伝達物質グルタミン酸および抑制性神経伝達物質GABAの遊離機能変化を明らかにすることができた。 ・Phf24欠損ラットのグルタミン酸およびGABA遊離機能の亢進には、Gi/oタンパク質共役型受容体であるGABAB受容体、グループⅡ型mGlu受容体の機能低下が関与していることを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
中枢神経系におけるPhf24の機能解析を推進するとともに、てんかんの治療標的分子候補となり得るGi/oタンパク質共役型受容体を特定する。 ・GABAB受容体、グループⅡ型mGlu受容体の作動薬あるいは阻害薬を用いて、Phf24欠損ラットや対照ラットのけいれん感受性およびてんかん原性獲得機能に与える影響を評価する。 ・GABAB受容体、グループⅡ型mGlu受容体の他に、Phf24欠損ラットで機能異常が生じているGi/oタンパク質共役型受容体を同定する。
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