研究課題/領域番号 |
21K15284
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47050:環境および天然医薬資源学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
小林 啓介 北里大学, 薬学部, 助教 (80794734)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | アムホテリシンB / 抗真菌 / 感染症 / ケミカルバイオロジー / 天然物化学 / ペプチド / 真菌 / アムホテリシン |
研究開始時の研究の概要 |
感染症対策は今なお重要な研究課題である。真菌感染症では、真菌とヒト間の選択毒性の低さから、新規抗真菌薬の開発は非常に困難である。抗真菌薬アムホテリシンB (AmB) は、耐性菌出現頻度も低く著効を示すが、その副作用が臨床的に大きな問題となってきた。申請者らは、AmBの効果を増強する化合物により、AmBの投与量を減らし副作用の問題を解決するという考えのもと、微生物資源からAmB抗真菌活性増強物質を見出してきた。これら化合物を基盤として、作用機序解析と標的分子の同定、カイコやマウスを用いた in vivoレベルでの有効性を証明し、新たな抗真菌感染症治療薬へ展開することを本研究の目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、抗真菌薬アムホテリシンB (AmB) (作用点は真菌細胞膜に存在するエルゴステロールに結合することによる膜障害) の抗真菌活性を特異的に増強する化合物 (それ自身では抗細菌活性、抗真菌活性、細胞毒性は示さない) について、その作用機構の解明、in vivoレベルでの効果の検証を目的に行なっている。本年度も前年度に引き続き、活性化合物ネクトリアチド (構造は環状テトラペプチド) に焦点を当て研究を遂行し、以下に示す進捗結果を得た。1) ネクトリアチドを構成する各種アミノ酸を種々のアミノ酸 (例えばD型アミノ酸など) に置換した環状および鎖状の誘導体を合成し、AmB抗真菌活性増強作用について評価を行なった。本研究結果については、前年度の結果と合わせ特許化の準備を進めている。2) 前年度の結果より、ネクトリアチドは真菌細胞膜脂質成分に作用する可能性が示唆されたのでその検証を進めた。細胞膜を構成する各種リン脂質や各種ステロール類に対するネクトリアチド (およびその誘導体) の親和性を、人工細胞膜リポソームや、疎水性化合物吸着プレートを使用したELISA法により評価した結果、エルゴステロールに親和性を示すことが示唆された。蛍光ネクトリアチド誘導体を合成し真菌を染色したところ、その局在は細胞膜に認められたことからも、これまでの結果は支持された。一方で、哺乳類細胞膜に存在するコレステロールには親和性を示さなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
作用機序解析については、ネクトリアチドの有力な標的分子 (結合分子) としてエルゴステロールを特定するに至った。また、ネクトリアチドの誘導体を種々合成しライブラリー化することができた。活性、代謝安定性の観点からin vivo試験に最適な化合物を選定できる準備を整えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
作用機序解析については、ネクトリアチドがエルゴステロールに結合することでなぜAmB活性が増強されるのか、その検証を進める。例えば、AmBとネクトリアチド類の併用の有無で真菌細胞膜に結合するAmB量が変動していないか、などをLC-MS等を用いて解析する。In vivo試験に向けて、ライブラリー中の誘導体について、肝ミクロソームを用いた代謝安定性試験などを行い、AmB増強活性と合わせて、最適な化合物を選定する。選定した化合物について、カイコを用いた簡易in vivo試験や、マウスを用いた動物実験を行い、薬理効果を証明したい。
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