研究課題/領域番号 |
21K15290
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47050:環境および天然医薬資源学関連
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研究機関 | 九州保健福祉大学 |
研究代表者 |
渥美 聡孝 九州保健福祉大学, 薬学部, 准教授 (60453651)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | ミシマサイコ / サイコ / 発芽勢 / 栽培研究 / シードコンディショニング / 薬用植物 / 生産量拡大 |
研究開始時の研究の概要 |
「発芽勢(はつがぜい)」は発芽が揃う割合のことで、発芽の速やかさや斉一さの指標となります。薬用植物の栽培において解決すべき問題の一つは、発芽勢が低い(発芽速度が遅く、不揃いな)ことです。ミシマサイコは国内消費量が年間約600トンと多い一方で、その種子は発芽勢が低く、国内生産が伸びない最大の原因となっていると考えられます。私はミシマサイコの発芽勢を改善することが、国内生産の安定化に直結すると考えました。そこで本研究ではミシマサイコ種子の発芽特性の実態解明および発芽の促進法等を明確にし、発芽勢を高めるためのシードコンディショニング(種子の準備方法)を提案することを目的としています。
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研究実績の概要 |
本研究は生薬「サイコ」の国産化および安定供給を目指し、ミシマサイコ栽培の最大の障害となっている発芽勢を改善することを目的としている。2年目となる令和4年度には、①ミシマサイコ種子からの発芽抑制物質の探索、②シードコンディショニングによる胚の成長状態の解明、③シードコンディショニングによる発芽勢を改善するための手法の確立、④実圃場に応用するための出芽試験の実施、⑤発芽率および発芽勢向上のための種子選別方法の検討 を行った。 研究計画に従い、ミシマサイコ種子を用いて各種試験を実施し、①昨年に引き続き、発芽抑制物質を探索したが、発芽特定物質の特定には至らなかった。②胚の成長状態の解明においては湿潤状態で20℃前後の温度でインキュベートを行うことで胚が成長し、発根に至ることを明らかにした。③20℃前後の温度で胚が成長することが明らかとなったため、変温と一定温度、対照として低温でインキュベートする実験を行ったところ、変温条件では一定温度条件に比べて有意に発芽する期間が短縮されることを明らかにした。また、低温条件では変温条件に比べると倍程の日数を要するものの、発芽の斉一さが改善することを明らかにした。④出芽試験では、変温条件、一定温度条件のいずれも、無処理郡に比して一週間程度の出芽期間が短縮したが、低温でインキュベートをした種子が最も早く出芽することを明らかにした。⑤種子選別においては、一般的に行われている水選別は吸水することで種子の腐敗を早めるリスクが高まること、風選別は発芽率の向上には寄与しないことを示すとともに、種子の採種方法が発芽率や発芽勢の向上にとって最も重要であることを明らかにした。 現在は上記研究結果から実圃場に応用可能なシードコンディショニング方法を決定するための試験を実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①において、昨年度に引き続き、発芽抑制物質の特定には至らなかった。ミシマサイコ種子数kgから複数回抽出を行ってもその量は非常に少ないことから、発芽抑制の機能自体は他の発芽に関する因子と比して影響が少ない可能性もある。 むしろ、②~④の実験によって、ミシマサイコの発芽に至る事象について内部形態から出芽に至る現象を網羅的に解決できたことから、ミシマサイコの増産という本研究課題の核心部を解決できる見通しがついたと考えている。 ⑤の採種方法は、これまでミシマサイコの発芽に関する先行論文の中では検討されてこなかった、採種方法に関する非常に有用な結果を示すことができたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は本研究課題の最終年度であることから、シードコンディショニング方法を確立するため、実圃場での栽培研究を含めた調査を実施する予定である。
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