研究課題/領域番号 |
21K15300
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
二瓶 哲 岩手医科大学, 薬学部, 研究員 (30898888)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | VEGF阻害薬 / 血管内皮機能障害 / 腎障害 / 蛋白尿 / 高血圧 / エンドセリン-1(ET-1) / ベバシズマブ / Reactive Hyperemic Index / 血管内皮増殖因子(VEGF)阻害薬 / ヒト糸球体微小血管内皮細胞 / 糸球体上皮細胞 / 糸球体内皮細胞 / 血管内皮機能 |
研究開始時の研究の概要 |
血管内皮増殖因子(VEGF)阻害薬は蛋白尿を特徴とした腎障害を引き起こす。申請者はエンドセリン-1(ET-1)を指標として腎糸球体の血管内皮機能障害を検討したところ、抗VEGF-A抗体のベバシズマブ(BEV)はET-1抑制機構を破綻させ、ET-1分泌を増加させることを見出した。しかし、VEGF阻害薬誘発性腎障害の病態基盤として血管内皮機能障害が存在しているのかは明らかでない。本研究では血管内皮機能障害の機能的意義を明らかにすることを目的に、BEV投与患者における血管内皮機能障害と腎障害の関連性を解析する。さらに、ET-1を介してVEGF阻害薬が濾過障壁機能を障害する分子メカニズムを解析する。
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研究成果の概要 |
本研究では血管内皮増殖因子(VEGF)阻害薬誘発性腎障害における血管内皮機能障害の機能的意義を明らかにすることを目指した。ヒト腎糸球体内皮細胞のin vitro実験では、VEGF-A活性を阻害するベバシズマブ処理により、血管内皮機能障害マーカーのエンドセリン-1(ET-1)発現が亢進することを発見した。ベバシズマブ投与患者では、血漿中ET-1レベルが腎障害発現と関連することが明らかとなった。さらに、血管内皮機能と腎障害の関連性は、血管内皮機能の指標となる反応性充血指数の結果により裏付けられた。すわなち、血管内皮機能障害がVEGF阻害薬誘発性腎障害の発症機序に関与している可能性がある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ベバシズマブなどのVEGF阻害薬は種々のがん疾患に対するキードラッグとして重要な役割を担っているが、蛋白尿や高血圧による腎障害が用量制限毒性となり、投与の中断や減量の原因となる。高血圧は降圧薬の使用によりコントロール可能なことが多いが、蛋白尿に対しては有効な予防法や治療法は存在しない。したがって、腎障害を回避するための新たな治療ターゲットやバイオマーカーの知見が求められており、本研究の成果はVEGF阻害薬に伴う血管内皮機能障害の機能的意義を明らかにするものであり、新規概念を提示するとともに臨床応用の可能性が高いと考える。
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