研究課題/領域番号 |
21K15333
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
菅原 太一 熊本大学, 大学院先導機構, 助教 (30758412)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 血液精巣関門 / 密着結合 / 3細胞結合 / アンギュリン-1 / 上皮バリア / タイトジャンクション / セルトリ細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
セルトリ細胞は互いに接着することにより、細胞間結合であるタイトジャンクションを主要構造とする血液精巣関門を形成する。しかし、血液精巣関門が精子形成に寄与するかどうかについて未だに不明な点が多い。そこで本研究では、3細胞結合形成を担うアンギュリン-1に着目し、それをセルトリ細胞において欠損させたマウスを作出・解析することによって、血液精巣関門の生理機能を解明する。
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研究実績の概要 |
セルトリ細胞には、3細胞結合の構成分子である膜タンパク質アンギュリン-1(LSR)が発現している。本年度では、セルトリ細胞が発現するアンギュリン-1を特異的に欠損させた雄マウス(アンギュリン-1 cKOマウス)を作製し、その造精機能について調べた。アンギュリン-1 cKOマウスの体重は、コントロールマウスの体重と比べて有意な差はなかったが、精巣のサイズが縮小していた。ヘマトキシリン・エオジン染色によって、アンギュリン-1 cKOマウスにおける精巣の組織構造を調べてみると、精細管内には異常な空胞が生じており、伸長精子細胞の数が減少していた。さらに、アンギュリン-1 cKOマウスの精巣上体尾部に蓄積する精子の数も減少していたことから、セルトリ細胞に発現するアンギュリン-1が精子形成に必要であることが示唆された。また、免疫蛍光染色を行ったところ、コントロールマウスの精巣において、アンギュリン-1は密着結合の裏打ちタンパク質であるZO-1の一部と共局在することがわかった。アンギュリン-1 cKOマウスの精巣では、ZO-1と共局在していたアンギュリン-1が消失する一方で、セルトリ細胞の細胞質全体に分布するドット状のアンギュリン-1シグナルが観察された。本研究で作製したアンギュリン-1 cKOマウスのセルトリ細胞では、膜貫通型アンギュリン-1は欠損する一方で、他のアイソフォームとして分泌型アンギュリン-1が代償発現している可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通りアンギュリン-1 cKOマウスを作製し、その表現型を解析し始めることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
アンギュリン-1 cKOマウスでは精子形成障害が生じることが示唆されたので、今後、造精細胞のどの分化過程において異常が起こるのかを詳細に調べる。また、その精子形成障害が3細胞結合の形成異常に起因する可能性があるかを調べる。具体的には、電子顕微鏡法を用いた3細胞結合の形態学的解析およびビオチン化試薬をトレーサーとして用いたバリア機能解析を行う。
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