研究課題/領域番号 |
21K15340
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分48020:生理学関連
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
天野 出月 群馬大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (10765275)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | NCoR / 甲状腺ホルモン / 神経発達障害 / 抑制型転写共役因子 / SMRT / 小脳プルキンエ細胞 / NCoR1 / 自閉症スペクトラム障害 / 発達障害 / 脳発達 / 転写共役因子 / 小脳 |
研究開始時の研究の概要 |
甲状腺ホルモン(TH)は神経発達・機能維持に必要不可欠なホルモンである。核内の標的遺伝子のTH応答領域に結合するTH受容体に結合し、標的遺伝子の発現を転写レベルで制御する。TH非結合時には、抑制型転写共役因子(NCoRs)からなる複合体により転写が抑制される。周産期にTHが欠乏すると重度の神経発達障害を来すクレチン病を発症し、NCoRsに遺伝子異常をもつ場合には自閉症スペクトラム障害などの発達障害を来すことが報告されている。しかし、TH及びNCoRsによる神経発達の制御機構は不明である。そこで本研究では小脳に着目し、NCoRsのノックアウトマウスモデルを作製し、その生理学的役割を明らかにする。
|
研究成果の概要 |
甲状腺ホルモン受容体をはじめとする核内受容体の作用に重要である、抑制型転写共役因子SMRT(NCoR2)の異常が、神経発達障害の一因であることが近年報告されている。しかし、その作用機序は不明である。そこで本研究では、神経発達障害の関連脳領域の一つとされる小脳に着目した。小脳プルキンエ細胞特異的にSMRTを欠失させたマウスは、協調運動異常を認めなかった一方で、社会性行動の異常を認めた。さらに電気生理学的実験ではSMRT欠失がプルキンエ細胞の過活動とスパインの増加を引き起こすことを明らかにした。本研究はSMRTがプルキンエ細胞の電気生理学的特性の調節に重要な役割を担っていることを明らかにした。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
自閉症スペクトラム障害(ASD)をはじめとする神経発達障害は、発症率の増加に伴い世界的に深刻な社会問題となっている。多因子疾患である一方で、遺伝的素因が大きな要因の一つであるとされる。本研究成果で注目したSMRT(NCoR2)の変異は、ヒトでASD症状を呈することが報告されているが、本研究で作出したマウスモデルでも同様の症状を呈することを明らかにした。また、その行動変容の細胞基盤が小脳プルキンエ細胞の電気生理学的特性の変化に起因していることが明らかとなった。本知見が、現在は有効な治療手段に乏しい神経発達障害の治療アプローチに大きく寄与することが期待できる。
|