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生理的および病的な血管新生におけるペリサイトの機能とその制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K15346
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分48020:生理学関連
研究機関日本医科大学

研究代表者

石井 智裕  日本医科大学, 先端医学研究所, 助教 (40835427)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
キーワード血管新生 / ペリサイト / 血管内皮細胞 / ゼブラフィッシュ / ライブイメージング
研究開始時の研究の概要

ペリサイトは内皮細胞を被覆することで安定な血管構造を維持している.組織が創傷などを受けると,血管新生が誘導され,新たな血管網が形成され,組織の恒常性維持に寄与する.一方,がんなど病態時では,過剰な血管新生が生じ,逆に病態を悪化させる.この病的血管では,ペリサイトのない血管ができることが特徴であり,ペリサイトによる血管の被覆が正常な血管新生に重要であることが示唆されるが,血管新生を制御する機能はいまだ明らかとなっていない.本研究では,生体内の血管新生を生きたまま観察することで,ペリサイトによる血管新生の制御機構を明らかとし,血管新生が生体にとって相反する効果を発揮するメカニズムを解明する.

研究実績の概要

ペリサイトは,毛細血管を被覆し,静止状態では安定な血管構造維持に寄与していると考えられている.一方,組織が傷害など損傷を受けると,虚血状態を解消するために血管新生が誘導される.血管新生は既存血管から新たな血管を形成する現象で,創傷治癒時など生理的条件下では生体の恒常性維持に寄与するが,がんなどの病態時では,血管新生による異常血管形成が病態を悪化させることが知られている.血管新生が生体へ相反する作用を有する機構は未だ不明のままであるが,病的血管新生ではペリサイトによる被覆が少ないことが特徴の1つであり,ペリサイトの機能が生理的血管新生に重要であると考えられている.しかしながら血管新生におけるペリサイトの役割は未だ不明のままである.そこで申請者らは,血管新生過程におけるペリサイトの役割を明らかとするため,1年目で任意のタイミングでペリサイトを除去できるゼブラフィッシュを樹立し,アブレーションの条件を確立した.さらに,成魚皮膚血管をライブで観察するイメージング手法を確立した.そこで2年目では,ペリサイトをなくした後に血管新生を誘導し,その影響を解析した.その結果,ペリサイトをなくした後に血管新生を誘導すると,内皮細胞の過剰な出芽と伸長方向の異常が観察され,ペリサイトが内皮細胞を被覆することで血管新生を積極的に制御する可能性が示唆された.3年目では,ペリサイトが内皮細胞を如何にして被覆するかを明らかとするため,ペリサイトを除去した個体から内皮細胞を単離し,RNAシーケンスを実施した.現在シーケンスの解析を行なっており,候補となる遺伝子や経路を探索中である.また,ライブイメージングにより明らかとなった生理的血管新生過程におけるペリサイトの役割について論文として投稿を開始した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

3年目では,ライブイメージングにより明らかとなった生理的血管新生過程におけるペリサイトの役割について論文として投稿を開始した.また,ペリサイトが血管を被覆するメカニズムを解明するため,成体ゼブラフィッシュの皮膚から内皮細胞を単離する条件検討を行なってきた.皮膚組織を分散しているうちに,線維芽細胞やマクロファージ,上皮細胞とは異なり,内皮細胞は単離が難しいことがわかってきた.そこで,酵素の処理条件や反応時間を入念に検討し,少数ではあるが内皮細胞を単離する条件を確立した.この条件検討に多くの時間を費やしてしまったため,進捗の区分をやや遅れているに設定し,研究期間を次年度へ延長することにした.内皮細胞の単離条件が確立したので,正常個体とペリサイトをアブレーションした個体を準備し,それぞれ皮膚から内皮細胞を単離し,RNAシーケンスを実施した.現在シーケンス結果を解析している段階であり,今後候補となる分子やパスウェイを同定し,検討を進めていく.

今後の研究の推進方策

4年目では,ライブイメージングにより明らかとなった生理的血管新生過程におけるペリサイトの役割について論文受理を目指す(現在投稿中).さらに,ペリサイトをアブレーションした内皮細胞のRNAシーケンスの結果を解析し,ペリサイトが血管を被覆するメカニズムおよびその意義について明らかにする.候補遺伝子を選定したのち,そのノックアウトフィッシュを作製し,ペリサイトの被覆の影響について,内皮細胞とペリサイトを可視化したゼブラフィッシュを用い,ライブイメージングにより検証する.さらに,候補となるパスウェイや鍵分子の活性を評価できるレポーターフィッシュの作製も試み,これらの活性がペリサイトの被覆の有無により変動するかについてライブイメージングにより検証する.最後に,病的血管新生におけるペリサイトの動態の観察を検討する.まだ条件が整っていないが,既報の文献を参考にし,免疫不全ゼブラフィッシュへの腫瘍細胞を移植する系を用いる.

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (14件)

すべて 2024 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Endothelial cells regulate alveolar morphogenesis by constructing basement membranes acting as a scaffold for myofibroblasts.2024

    • 著者名/発表者名
      Watanabe-Takano H., Kato K., Oguri-Nakamura E., Ishii T., Kobayashi K., Murata T., Tsujikawa K., Miyata T., Kubota Y., Hanada Y., Nishiyama K., Watabe T., F?ssler R., Ishii H., Mochizuki N., Fukuhara S.
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 15 号: 1 ページ: 1622-1622

    • DOI

      10.1038/s41467-024-45910-y

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Rap1 small GTPase is essential for maintaining pulmonary endothelial barrier function in mice.2023

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto K., Watanabe-Takano H., Oguri-Nakamura E., Matsuno H., Horikami D., Ishii T. Ohashi R., Kubota Y., Nishiyama K., Murata T., Mochizuki N., Fukuhara S.
    • 雑誌名

      FASEB J

      巻: 37 号: 12 ページ: 1-18

    • DOI

      10.1096/fj.202300830rr

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Novel regulatory mechanisms underlying angiogenesis during wound healing revealed by fluorescence-based live-imaging in zebrafish.2023

    • 著者名/発表者名
      Yuge S., Ishii T., Noishiki C., Fukuhara S.
    • 雑誌名

      J. Biochem.

      巻: 174 号: 1 ページ: 5-12

    • DOI

      10.1093/jb/mvad024

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書 2022 実施状況報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Mechanical loading of intraluminal pressure mediates wound angiogenesis by regulating the TOCA family of F-BAR proteins2022

    • 著者名/発表者名
      Yuge S, Nishiyama K, Arima Y, Hanada Y, Oguri-Nakamura E, Hanada S, Ishii T, Wakayama Y, Hasegawa U, Tsujita K, Yokokawa R, Miura T, Itoh T, Tsujita K, Mochizuki N, Fukuhara S.
    • 雑誌名

      Nat Commun.

      巻: 13(1) 号: 1 ページ: 2594-2594

    • DOI

      10.1038/s41467-022-30197-8

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] ライブイメージングにより血管新生におけるペリサイトの真の機能を解明する2022

    • 著者名/発表者名
      石井智裕,弓削進弥,安藤康史,福原茂朋
    • 雑誌名

      日医大医会誌

      巻: 18 ページ: 70-71

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] Roles of pericytes in the regulation of wound angiogenesis revealed by fluorescence-based live-imaging in adult zebrafish2024

    • 著者名/発表者名
      石井智裕,弓削進弥,安藤康史,福原茂朋
    • 学会等名
      日本生理学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ぺリサイトによる血管新生制御機構2023

    • 著者名/発表者名
      石井智裕,弓削進弥,安藤康史,福原茂朋
    • 学会等名
      日本血管生物医学会若手研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Roles of pericytes in regulation of wound angiogenesis clarified by live imaging of adult zebrafish2023

    • 著者名/発表者名
      石井智裕,弓削進弥,安藤康史,福原茂朋
    • 学会等名
      Aisa-Australia Vascular Biology Meeting
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 血管新生におけるペリサイトの役割と 制御機構の探索2023

    • 著者名/発表者名
      石井智裕,弓削進弥,安藤康史,福原茂朋
    • 学会等名
      日本血管生物医学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 毛細血管の維持および血管新生制御におけるペリサイトの役割とその制御機構の解明2022

    • 著者名/発表者名
      石井智裕,弓削進弥,野一色千景,安藤康史,福原茂朋
    • 学会等名
      日本血管生物医学会学術集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] ライブイメージングによる血管新生過程におけるペリサイトの役割2021

    • 著者名/発表者名
      石井智裕,弓削進弥,野一色千景,安藤康史,福原茂朋
    • 学会等名
      Blood Vessel Club
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] ライブイメージングによる生理的および腫瘍血管新生におけるペリサイトの役割の解明2021

    • 著者名/発表者名
      石井智裕,弓削進弥,安藤康史,福原茂朋
    • 学会等名
      日本医科大学医学会総会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 血管新生過程の内皮細胞・ペリサイトの蛍光ライブイメージング解析2021

    • 著者名/発表者名
      石井智裕,弓削進弥,安藤康史,福原茂朋
    • 学会等名
      日本医科大学医学会総会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [図書] 血管・リンパ管の機能制御と疾患メカニズム2022

    • 著者名/発表者名
      伊東史子,福原茂朋
    • 総ページ数
      231
    • 出版者
      科学同人
    • ISBN
      9784759817355
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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