研究課題
若手研究
軟骨無形性症は内軟骨性骨化の異常により長管骨の成長障害をきたす難病のうちで最も頻度が高い疾患であり、FGFR3遺伝子の点変異が原因であると考えられている。申請者はこれまでに軟骨組織に対する新たな遺伝子治療法を探索し、自己増幅型RNAとナノ脂質粒子遺伝子導入法を用いたマウス軟骨組織への遺伝子導入法を世界に先駆けて成功した。そこで本研究課題では、①自己増幅型RNAを用いた骨組織への遺伝子発現制御法の確立を行い、②自己増幅型RNAを用いた軟骨無形性症の治療法開発研究を行う。その成果を、自己増幅型RNAを用いた治療薬開発のための研究基盤とする。
本研究課題では自己増幅型RNA(saRNA)を用いた遺伝子疾患の治療法開発研究を行った。研究当初は軟骨無形成症を対象にした研究を行っていたが、研究者の所属変更に伴い必要な実験試料の使用が難しくなったため、ターゲットとしていたもう一つの疾患である進行性骨化性線維異形成症(FOP)を中心に研究を進めた。FOP患者由来iPS細胞にFOPの原因遺伝子である変異型ACVR1遺伝子の働きを抑えるsaRNAを導入し、FOPの主要な症状である骨の異常な形成促進が培養細胞で抑えられるか検討した。FOP患者由来iPS細胞では骨が過剰に形成されていたが、saRNAを導入することでそれが抑えられることが確認された。
本研究課題ではiPS細胞培養において、saRNAがFOPの異常な骨形成を抑えることが示された。この結果は、saRNAがFOPに対する新規治療薬の候補になる可能性を示した。また、saRNAは核酸であるため、自由に設計が可能な物質である。そのため、手法の応用性が高く、今回ターゲットとしたFOP以外にも、軟骨無形成症など他の遺伝子疾患に対して有効なsaRNAも設計可能であると考えられる。そのため、様々な疾患への応用が考えられ、また、ゲノム編集やウイルス医薬のような危険性の高い手法を使わずに長期間の遺伝子制御が可能である点が本研究の学術的意義の高い点であると考えられる。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (3件) 備考 (5件)
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