研究課題/領域番号 |
21K15355
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分48030:薬理学関連
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研究機関 | 滋賀医科大学 (2022) 神戸薬科大学 (2021) |
研究代表者 |
池田 義人 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (40736980)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 胆汁酸 / リン脂質 / ABCB4 / 胆汁鬱滞性肝障害 / リン脂質排出トランスポーター |
研究開始時の研究の概要 |
リン脂質排出トランスポーターABCB4は、肝細胞の毛細胆管膜上に多く発現しており、胆汁中へのリン脂質排出に関与している。代表者は、リン脂質が胆汁酸による肝細胞毒性を軽減することを明らかにするとともに、ABCB4のリン脂質排出を促進する化合物を複数見いだしている。そして、ABCB4のリン脂質排出を促進することで、胆汁酸による肝細胞毒性が軽減され、胆汁鬱滞性肝障害などが改善できると発想した。一方、ABCB4のリン脂質排出機序の詳細は不明である。本研究では、ABCB4のリン脂質排出促進によって、胆汁鬱滞性肝障害マウスの治療を試みるとともに、ABCB4の分子レベルにおけるリン脂質排出機序を解明する。
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研究実績の概要 |
界面活性作用を有する胆汁酸は、脂質などの腸管吸収に重要である一方、胆汁鬱滞による高濃度存在時、細胞膜の脂質二分子膜構造を破壊することで肝障害を惹起する。これまでに研究代表者は、ヒト胆汁中のさまざまな胆汁酸による肝細胞障害が、胆汁中の主要リン脂質であるホスファチジルコリン(PC)と胆汁酸との混合ミセル形成によって減弱することを報告している。すなわち、胆汁中へのPC排出を促進する薬物は、胆汁鬱滞時にみられる肝障害を軽減することが期待できる。胆汁中へのPC排出には、肝細胞の毛細胆管膜に局在するATP-binding cassette transporter B4 (ABCB4)が必要である。本研究では、胆汁鬱滞性肝障害モデルマウスに対するタウリン抱合型ヒオデオキシコール酸(THDC)、タウリン抱合型ウルソデオキシコール酸(TUDC)の投与が及ぼす影響について評価してきた。本年度は、コール酸含有食誘発胆汁鬱滞性肝障害に対してみられたTHDC、TUDCの血中肝障害マーカー(AST、ALT活性上昇)の抑制効果が、Abcb4遺伝子ヘテロ欠損マウスにおいて減弱することを明らかにした。また、THDC、TUDC投与24時間後における胆汁中胆汁酸の組成を評価した結果、THDC、TUDCそれぞれの増大はみられたが、ともにコール酸含有食の自由摂餌によってコール酸に置換されていることが示された。Abcb4遺伝子ホモ欠損マウスは通常食による飼育でもAST、ALTの活性が上昇することに加えて、毛細胆管の障害を示唆するALPの活性上昇もみられたが、TUDC投与はこれらを抑制する傾向がみられた。 ABCB4のリン脂質排出機序解明を目的に作出したABCB4変異体発現細胞を用いた検討から、細胞外ループを構成するアミノ酸の特性が重要であることが示されつつあり、今後はその詳細を追求する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
食餌誘発胆汁鬱滞性肝障害ならびにAbcb4欠損による胆汁鬱滞性肝障害に対するTHDC、TUDCの治療効果について、計画していた評価を概ね終えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
細胞外ループに変異を導入したABCB4変異体発現培養細胞を用いて、PC排出機序の解明を試みる。予備検討において細胞外ループへの変異導入によってみられた糖鎖修飾への影響について再現を確認する。続いて、ABCB4変異体の発現局在について免疫染色法を用いて評価する。さらに細胞外ループの変異が胆汁酸のPC排出活性促進作用にどのような影響を及ぼすのか、種々胆汁酸を用いて比較検討していく予定である。
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