研究課題/領域番号 |
21K15359
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分48040:医化学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
清水 謙次 東京大学, 定量生命科学研究所, 助教 (60837061)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
|
キーワード | T細胞 / PD-1 / 抗原応答性 / TCRレパトア / TCRレパトア解析 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、PD-1阻害薬によるがんの治療が注目を集めている。PD-1阻害薬の問題点として、一部の患者やがんの種類によっては効果がないことが挙げられる。この問題点を解決するためには、PD-1がT細胞活性化を抑制するメカニズムをより詳しく理解する必要がある。本研究ではPD-1による抑制効果とT細胞の抗原応答性の関係を明らかにすることを目的とする。PD-1阻害薬によるがん治療において中心的な役割を担うT 細胞の特性を解明することにより、がん患者のT細胞の抗原応答性を指標とした治療効果予測法の開発、PD-1によって抑制されないように改良したCAR-T療法やがんワクチン療法の開発などの基盤とする。
|
研究成果の概要 |
T細胞株に抗原応答性の異なる6種類のTCRを遺伝子導入し、PD-1による抑制効果を評価した。その結果、抗原応答性の低いTCRほどPD-1による抑制を受けやすいことがわかった。また、PD-1欠損マウスでは抗原特異的T細胞の平均の抗原応答性が低下していることを明らかにした。さらに、実験的自己免疫性脳脊髓炎を誘導したマウスの脊髄に浸潤しているT細胞のTCR配列を調べた結果、PD-1阻害により増加するT細胞クローンと減少するT細胞クローンが存在することが分かった。以上の結果から、PD-1は全てのT細胞を同等に抑制するのではなく、抗原への親和性が低いT細胞を選択的に抑制することが明らかになった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、PD-1阻害薬によるがんの治療が注目を集めている。PD-1阻害薬の問題点として、自己免疫疾患様の副作用を惹き起こすことや一部の患者やがんの種類によっては効果がないことが挙げられる。この問題点を解決するためには、PD-1がT細胞活性化を抑制するメカニズムをより詳しく理解する必要がある。 本研究により、PD-1は全てのT細胞を同等に抑制するのではなく、抗原への親和性が低いT細胞を選択的に抑制することが明らかになった。これにより、T細胞応答の特異性が向上し、自己組織への望まないT細胞応答が回避されていると考えられる。本研究成果はPD-1阻害薬の改善への手がかりになると期待される。
|