研究課題/領域番号 |
21K15381
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
河合 瞳 筑波大学, 医学医療系, 助教 (50895026)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 浸潤性粘液腺癌 / 細胞膜タンパク / モノクローナル抗体 / 浸潤性粘液性腺癌 / 免疫染色 / 遠隔転移 / 接着因子 / 免疫沈降 / 質量分析 / 免疫組織化学 |
研究開始時の研究の概要 |
癌の遠隔転移の初期段階では癌細胞が基底膜から遊離する。肺癌は経気道散布による肺内転移を起こしうる癌腫で、経気道散布の状態では、癌細胞は脈管など周囲の細胞から修飾を受けておらず、遠隔転移の初期段階の状態と考えられる。肺癌の中でも浸潤性粘液性腺癌(invasive mucinous adenocarcinoma, IMA)は経気道散布が高い頻度で起こる。そこで、本研究では、IMAの手術検体から採取した凍結検体を用いて、IMAの細胞膜に発現するタンパクを網羅的に解析し、癌細胞-基底膜の接着に関与する接着因子を同定する。
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研究成果の概要 |
導入:浸潤性粘液腺癌(IMA)は高頻度に経気道散布という遠隔転移形式を呈し、経気道散布は遠隔転移の初期段階状態と見なしうる。目的:IMAの細胞膜タンパクを抗原としたモノクローナル抗体を作成し、経気道散布に関連する癌細胞膜タンパクの同定と機能解析を行う。結果:モノクローナル抗体を用いた免疫沈降サンプルの質量分析を行い、抗原候補としてMRP2が同定された。MRP2は肺腺癌細胞株(A549)およびIMAの細胞膜(特に頂部)に発現し、非腫瘍性の肺胞上皮・気管支上皮には発現しないことから、肺における癌特異的なタンパクとして機能していると考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
IMAは高頻度に経気道散布という遠隔転移形式を呈する。経気道散布は遠隔転移の初期段階状態と見なすことができる。今回、IMAの細胞膜タンパクを抗原としたモノクローナル抗体を作成し、抗原候補としてMRP2が同定された。本報告ではMRP2がIMAおよび肺腺癌細胞株の細胞膜に発現することを初めて報告した。MRP2は薬物や生理活性物質の流出入に関わるタンパクであり、IMAにおけるMRP2の異所性の発現が、癌細胞-炎症細胞間に癌特異的な生化学的カスケードが構築している可能性が考えられた。MRP2の発現が癌細胞ー基底膜間の接着に与える影響を調べることで、遠隔転移の初期段階の機序を解明する手がかりとなる。
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