研究課題/領域番号 |
21K15387
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 埼玉医科大学 (2023) 横浜市立大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
松村 舞依 埼玉医科大学, 医学部, 非常勤講師 (50812997)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | EGFR変異肺腺癌 / 微小乳頭状亜型 / 全エクソーム解析 / バイオインフォマティクス解析 / MUC21 / Visium 空間的遺伝子発現解析 / 肺癌 / 次世代シーケンス |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者は先行研究で、EGFR肺腺癌の悪性度を規定する微小乳頭状成分のみに起こっている遺伝子変異を次世代シーケンスを用いて同定、特に高悪性化に関連すると予想される複数の遺伝子からなる「高悪性度EGFR肺腺癌パネル」を作成した。本課題では、外科症例に加え内科症例に対象を拡張し、1)「高悪性度EGFR肺腺癌パネル」の変異が本当に微小乳頭状成分に特異的であるのか、2)「高悪性度EGFR肺腺癌パネル」の変異がEGFR肺腺癌の悪性度に相関するのかを検証し、新規の予後予測マーカーや分子標的指標の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
我々の研究ではこれまでに、EGFR変異を有する肺腺癌(以下、EGFR肺腺癌)の悪性度が微小乳頭状亜型により規定されていることを明らかにした。更に同一腫瘍から微小乳頭状成分と非微小乳頭状成分をマイクロダイセクションで採り分け、次世代シーケンサーによる全エクソン解析を行い、微小乳頭状成分のみに起こっている遺伝子変異を同定、特に高悪性化に関連すると予想される20個の遺伝子からなる「高悪性度EGFR肺腺癌パネル」を作成した。また前年度より、「Visium 空間的遺伝子発現解析」を用いて、組織像を対比させることで、微小乳頭状成分と非微小乳頭状成分それぞれの遺伝子発現パターンを解析し、微小乳頭状成分で特異的に発現上昇している遺伝子変異3個と、発現低下している遺伝子20個を同定した。本年度は特に発現上昇している遺伝子変異3個について、症例を207例に拡張して免疫染色を行い、発現量を定量化するためにスコアリングを行った。その結果、3遺伝子の高発現群は脈管侵襲、特にリンパ管侵襲が有意に多くみられ、いずれもEGFR肺腺癌に強く発現していた。また、これらは微小乳頭状成分で特異的に高発現していることが示された(松村舞依 他, 日本病理学会学術総会, 2024年)。 この研究により、EGFR肺腺癌の高悪性度化、すなわち微小乳頭状亜型への分化に関わる主要な遺伝子を同定し、新規の予後予測マーカーや分子標的指標の確立に繋げたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度は、「Visium 空間的遺伝子発現解析」を用いて、微小乳頭状成分で特異的に発現上昇している遺伝子変異3個について、症例を207例に拡張して免疫染色を行い、発現量を定量化するためにスコアリングを行った。その結果、3遺伝子の高発現群は脈管侵襲、特にリンパ管侵襲が有意に多くみられ、いずれもEGFR肺腺癌に強く発現していた。また3遺伝子とも微小乳頭状成分で特異的に高発現していることが示された。 これらの3遺伝子の発現と、予後(術後再発率と生存率)との相関を統計学的に解析するにあたり、現在、予後データの収集に時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
Visiumで同定した、微小乳頭状成分に特異的に上昇している3遺伝子が免疫組織化学的にも微小乳頭状成分で高発現していることが示されたので、予後(術後再発率と生存率)との相関を統計学的に解析する。また、この成果を論文化する。
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