研究課題/領域番号 |
21K15393
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
|
研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
高松 学 公益財団法人がん研究会, がん研究所 病理部, 研究員 (00750366)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
|
キーワード | 人工知能 / 膵癌 / 病理組織 / 画像解析 / 予後予測 / 発現解析 / 病理組織画像 |
研究開始時の研究の概要 |
浸潤性膵管癌の治療の障壁となりうる腫瘍内不均一性について、病理組織画像を対象とした人工知能(AI)による解析と、遺伝子発現解析を組み合わせて、腫瘍に含まれる多様な成分の性質を可視化し定量解析する。 これにより、予後や化学療法効果に影響を与える腫瘍成分が遺伝子学的にどのような性質を示すのか、またそれらが膵癌全体でどのように分布(症例間、症例内)しているのかを解析し、個別化医療の発展に役立てる。
|
研究実績の概要 |
この研究では、人工知能を活用した多数例の病理組織学的な形態解析を通じて、不均一な細胞集団である浸潤性膵管癌における新規形態学的分類法の構築と、それぞれの形態分類に対応する特異的な発現変化を示す遺伝子群を同定する。そして、推定される遺伝子変化を組織形態学へ効果的に翻訳し、腫瘍全体の不均一性の可視化を実現するとともに、予後を予測するモデルを確立する。 令和3年度は浸潤性膵管癌674症例からデジタル化した組織画像を基に癌を含む小画像(パッチ画像)を100万枚余り収集し、特徴量の抽出から予後予測モデルを確立した。 令和4年度は、上記で収集した組織画像を基に、ニューラルネットワークを介したクラスタリングにより、不均一な癌画像を類似画像よりなる16クラスタに分解し、それぞれのクラスタの出現頻度を同定した。さらに予後に有意な影響を与えるクラスタを3つ(A, B, C)同定した。一定数以上存在すると膵癌術後再発が非常に高率となる、あるいは反対にその成分が存在しなければ5年無再発率50%以上となるような症例抽出に成功した。 令和5年度は、上記クラスタA,B,Cについて、FFPE薄切切片24サンプルから組織の顕微鏡下選択的ダイセクションを実施し、全RNA抽出を行った後、mRNAパネル定量(nCounter)を実施し、クラスタ間の発現差が大きい遺伝子を5つ同定した。このうち遺伝子Xについては、予後良好クラスタAでは高発現しているのに対し、予後不良クラスタB,Cでは発現が有意に低く、予後予測のバイオマーカーとして活用できる可能性が見いだされた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
デジタルスライドスキャナの故障と、RNA定量装置であるnCounterの故障により、修理に時間を要した。現在は復旧している。
|
今後の研究の推進方策 |
同定された予後に影響を与える遺伝子について、免疫染色による組織内発現の可視化を行い、膵癌予後予測のバイオマーカーとしての有用性を検証する。
|