研究課題/領域番号 |
21K15407
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
紅林 泰 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (40805123)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 肝細胞癌 / 腫瘍免疫 / 微小環境 / 肝臓 / 進行がん / 転移 / 病理 / 多様性 |
研究開始時の研究の概要 |
がんに対する免疫療法の進展を受けて、肝細胞癌の免疫微小環境の分類の確立ならびに病理診断への応用が期待されている。一方で、これまでの研究は手術により切除可能な比較的早期の肝細胞癌を主な対象としており、免疫療法の対象となる切除不能進行肝細胞癌の免疫微小環境については未だに不明である。本研究では、研究代表者がこれまでに検討した外科切除可能な肝細胞癌症例に加えて進行肝細胞癌の病理解剖例を改めて詳細に解析することで、①全ての病期(前癌病変、早期肝細胞癌から切除不能進行肝細胞癌まで)における肝細胞癌の免疫微小環境の病理学的分類の確立と、②各免疫微小環境の成立機序の一端の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、①全ての病期(前癌病変、早期肝細胞癌から切除不能進行肝細胞癌まで)における肝細胞癌の免疫微小環境の病理学的分類の確立と、②各免疫微小環境の成立機序の一端の解明である。2022年度(4年計画の2年目)では、下記の検討を行った。 1) 2021年度に確立した進行期肝細胞癌の病理解剖検体のコホート(60例)を用いて、原発巣と転移巣を合わせて計480部位におけるT細胞、B細胞、形質細胞、マクロファージの浸潤数ならびにB細胞濾胞形成の程度について検討した。進行期肝細胞癌では、外科切除可能な比較的臨床病期の低い肝細胞癌と比較してリンパ球浸潤が低い傾向にあるものの、一部の腫瘍においては中等度~高度のリンパ球浸潤を認めることが判った。また、原発巣、転移巣間における免疫微小環境の多様性に関して、その概要を把握することができた。 2) 進行期肝細胞癌の治療前腫瘍生検検体(計65例)について、その分子生物学的特性ならびに腫瘍微小環境に関する検討を行った。今後、治療後の臨床経過と比較、検討する際の基礎となるデータを取ることができた。 3) 進行期肝細胞癌では比較的臨床病期の低い肝細胞癌と比較して抗腫瘍免疫応答が弱いことから、以前、我々が報告した免疫サブクラスのうち、リンパ球浸潤の低い群(Immune-low群)について再度解析を行った。その結果、幼弱なリンパ球集簇巣(T cell aggregate)に着目することで、Immune-low群を臨床病理学的性質の異なる2群にさらに分けることが可能であることが判った。また、T cell aggregateを構成するT細胞の形質に関して検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度に計画していた検討をほぼ完了することができたとともに、得られた結果を基に抗腫瘍免疫応答の低い群を再解析することで、腫瘍免疫微小環境の成立機序に関する新たな知見を得ることができた。また、得られた成果の一部について関連学会にて報告するとともに、論文投稿することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度中に、進行期肝細胞癌における免疫微小環境の原発巣、転移巣間多様性に関する詳細な検討を完了してその全体像を明らかにするとともに、2024年度中に論文として発表することを目標とする。また、今年度に得られた、Immune-low群における幼弱なリンパ球集簇巣とより免疫応答の高い免疫微小環境との関連に関する解析を進め、腫瘍微小環境の成立機序に関する検討を推進する。
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