研究課題/領域番号 |
21K15435
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49050:細菌学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
松尾 祐一 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 助教 (60802824)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 硫黄代謝 / 核酸代謝 / エネルギー代謝 / 細菌学 / ピリミジン合成 / 結核菌 / 低酸素適応 |
研究開始時の研究の概要 |
結核菌はヒトの肺に感染することで、肺結核を発症することが広く知られる。また、結核菌感染者の大部分においては、結核菌は感染巣内で生存し、宿主の免疫が低下すると結核菌が再活性化し発症する。このように、結核菌は低酸素濃度である感染巣内で生存しているが、どのような仕組みでエネルギーを産生しながら生存しているのかについては、明らかになっていない。 本研究では、エネルギー産生と、DNA合成に関わるジヒドロオロト酸脱水素酵素 (DHODH) に着目し、低酸素環境と感染におけるDHODHの役割を明らかにする。そして、DHODHに対する薬剤を発見することで、新たな抗結核薬の開発につなげることを目標としている。
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研究成果の概要 |
DHODHとSQORの機能解析に取り組んだ。遺伝子ノックダウンの結果、Mycobacterium smegmatisでは、DHODHは細胞増殖に重要な遺伝子であったが、致死的遺伝子ではなかった。培地中にピリミジン合成系の代謝中間体であるウリジンを加えることで、遺伝子ノックダウン株の増殖が回復することから、DHODHが機能しなくても、細胞外の基質を利用することで、M. smegmatisは生存を維持することが明らかになった。そして、結核菌のSQORは、8つの硫黄原子からなるオクタチオカンを硫黄化合物として産生する可能性が示唆され、新たなタイプの酵素であることが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
世界保健機関の推計によると、世界人口の3分の1にあたる20億人が結核に感染し、そのうち毎年800万人の新たな結核患者が発生し、300万人が結核で死亡している。結核菌の治療薬に対する多剤耐性菌の流行が、公衆衛生上の世界的課題とされており、新たな治療薬の開発が望まれている。本研究では、核酸代謝と硫黄代謝に注目して研究を進め、核酸代謝は細胞の増殖に重要であることが分かった。また、結核菌は硫黄代謝に関する新たなタイプの酵素をもつことが分かった。結核菌における硫黄代謝の生理的意義については、明らかになっていないため、これらの結果は硫黄代謝を理解する基盤となり、創薬研究への応用が期待できる。
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