研究課題
若手研究
白癬(水虫)は皮膚糸状菌によって引き起こされる浅在性真菌感染症であり、10人に1人以上が感染していると言われるほど一般的な疾患である。皮膚糸状菌の細胞内シグナル伝達系は病原性と深い関係にあるが、その分子機構については未だ不明な点が多い。本研究では、皮膚糸状菌の病原性発現制御に関わる細胞内シグナル伝達系に着目し、皮膚糸状菌の菌糸成長における役割を明らかにすることを目的とする。本研究は皮膚糸状菌の細胞内シグナル伝達系の生理機能の理解を深めるだけでなく、皮膚糸状菌の菌糸成長に必須の分子機構を明らかにすることによって、創薬における新規分子標的の同定を目指す。
白癬(水虫)は皮膚糸状菌によって引き起こされるカビの感染症であり、日本人の5人に1人が足白癬と言われるほど一般的な疾患です。本課題では皮膚糸状菌の菌糸成長に必要なRac及びCDC42経路に着目し、その下流で働くプロテインキナーゼp21-activated kinase(PAK)の機能解析を行ないました。皮膚糸状菌のPAKの一つであるCla4を欠損すると菌糸成長や細胞骨格タンパク質アクチンの局在に異常をきたすことがわかりました。さらに、無脊椎動物を用いた感染モデルにおいて、Cla4の阻害剤が動物の生存時間を延長しました。これらのことから、Cla4が新たな抗真菌薬標的になることが期待されます。
世界的な高齢化に伴い白癬の罹患者数も増加傾向にあります。白癬治療薬の作用標的は非常に限られており、近年報告が増加している薬剤耐性真菌の出現などにより危惧される難治性の白癬を治療するためにも、新規作用標的を持つ抗真菌薬の開発が望まれています。本課題では、Cdc24-Cdc42/Rac-Cla4経路はアクチンを介して皮膚糸状菌の菌糸成長を制御し、爪などの組織における生育においても重要な役割を果たすことを見出しました。このことから、本シグナル伝達経路が新たな抗真菌薬治療標的候補となることが期待されます。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (23件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件) 備考 (2件)
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