研究課題/領域番号 |
21K15441
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49050:細菌学関連
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
小出 健太郎 国立感染症研究所, 細菌第二部, 主任研究官 (30874276)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 百日咳 / 薬剤耐性 / マクロライド耐性 / 全ゲノム解析 |
研究開始時の研究の概要 |
百日咳菌(Bordetella pertussis)は痙攣性の発咳を主徴とする急性呼吸器感染症の原因菌である。2018年に治療薬であるマクロライドに対して耐性を示す百日咳菌が日本で初めて分離されたことから、国内での耐性菌の今後の蔓延化が危惧されている。これまでの研究から百日咳菌は23S rRNA上のA2047G変異によってマクロライド耐性を獲得することが知られている。本研究ではA2047G変異が百日咳菌の増殖性や病原性に与える影響を明らかにする。さらに、マクロライド耐性菌の増殖性や病原性を日本国内で流行している非耐性菌と比較することで、国内での蔓延化の可能性や蔓延化を防ぐ方法について考察する。
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研究成果の概要 |
本研究によって、治療薬であるマクロライドに対する耐性を百日咳菌が獲得しても、その細菌が増殖や生存において大きな不利を受けない可能性が高いことがわかった。さらに、マクロライドの選択圧がない環境下で長期間培養しても百日咳菌はマクロライド耐性を失わないことが確認された。加えて、全ゲノム解析によって、マクロライド耐性を持つ百日咳菌が中国から日本へ侵入していることが示唆された。これらの結果から、今後日本でマクロライド耐性を示す百日咳菌が広がる可能性は高いと考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、マクロライド耐性獲得に伴う百日咳菌株の表現型がマクロライド感受性百日咳菌株と大きく異ならないことを初めて明らかにした。また、マクロライド耐性百日咳菌の完全長ゲノム配列を解明し、国際的なデータベースに登録したことは、今後の百日咳菌研究において極めて重要な基礎情報を提供する。これにより、効果的な治療法の開発や予防戦略の構築に寄与することが期待される。さらに、本研究の成果は、マクロライド耐性百日咳菌が今後蔓延化する可能性が高いことを示しており、公共衛生上の対応策を強化するための科学的根拠を提供する点で社会的意義も高いと言える。
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