研究課題/領域番号 |
21K15455
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49060:ウイルス学関連
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
荒井 泰葉 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80793182)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | SARS-CoV-2 / RIG-I / 新型コロナウイルス / 宿主適応 / 重症化 |
研究開始時の研究の概要 |
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染患者において血栓症や多臓器不全による重篤化が 問題となっているが、その重症化機序は解明されていない。長期間ヒトで流行しヒト適応性を獲得しているヒトコロナウイルス(hCoV)と異なり、SARS-CoV-2は野生動物を 起源とし、今まさに野生動物からヒトへの宿主障壁を超えようとする過渡期にある。そのため、複製に利用する宿主因子との不適合に起因して複製過程にエラーが生じやすいと推定される。 我々はSARS-CoV-2がhCoVと比較して、その複製過程において200b以下の短鎖viral RNAを顕著に多く産生することを見出している。本研究では当該RNAを介したSARS-CoV-2の重症化機序を解明することを目的とする。
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研究実績の概要 |
初年度では、短鎖viral RNAの代表的な配列に基づき複数種の短鎖viral RNAをin vitro transcription により合成し、当該RNAの配列と長さの違いによるサイトカイン誘導性を解析した。また、合成した短鎖viralRNAの特徴(二次構造、脱リン酸化、キャップ構造の有無)によるサイトカイン誘導性を確認することで、非自己RNAセンサーによる短鎖viral RNAの認識機構を明らかにした。さらに、非自己RNAセンサーをsiRNA導入によりノックダウンし、短鎖viral RNAによる免疫誘導の消失を確認している。 本年度では、短鎖viral RNA代表配列を対象としたstem-loop RT-PCRを構築し感染経過時間ごとに細胞中における短鎖viral RNA量を定量し、細胞内での非自己RNAセンサーの発現量との関連性を評価した。また、本研究で対象とする短鎖viral RNA はその長さから、宿主のmicro RNAのようにエクソソーム中に効率よく含有されると予想されるため、感染細胞培養上製中に含まれるエクソソームを単離し、small RNA-seqにより解析を行った。 これらの解析により、細胞中の短鎖viral RNA量が感染後期において細胞内に多く蓄積され、相関して非自己RNAセンサーの発現も上昇することを確認した。またエクソソーム中においては、感染細胞中と同様の短鎖viral RNAを検出することができた。
本研究では新型コロナウイルスが産生する短鎖viral RNAに着目し、当該RNAが感染時病態の重症化に与える影響について評価した。短鎖viral RNAはその特徴から、細胞内のサイトカイン産生を強く誘導しており、生体内で短鎖viral RNAが多量に産生される場合にはサイトカインストームを引き起こす一因子なり得ると推察される。
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