研究課題/領域番号 |
21K15460
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49070:免疫学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
横井 友樹 北海道大学, 先端生命科学研究院, 特任助教 (10895824)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 腸管粘膜免疫 / 自然免疫 / Paneth細胞 / α-defensin / 細胞間情報伝達 |
研究開始時の研究の概要 |
小腸陰窩基底部のPaneth細胞は、抗菌ペプチドα-defensinを含む顆粒を腸内へ分泌することで自然免疫に貢献している。しかし、腸内の病原体感知からPaneth細胞顆粒分泌に至るメカニズムは未だ分かっていない。そこで、本研究はPaneth細胞が腸を構成する上皮細胞、上皮下細胞群と連携して病原体等を感知し、顆粒を分泌するという細胞間ネットワークを仮説として考え、生体分子イメージングを駆使した細胞動態の時間・空間的解析によって、Paneth細胞を中心とした腸管粘膜免疫の新たなメカニズムを解明する。さらには、Paneth細胞の分泌異常が関わる疾患に対する新規予防法・治療法の確立に貢献する。
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研究実績の概要 |
腸内は食や腸内細菌および病原体由来の様々な外来抗原に曝されている。腸上皮細胞はこれら外来抗原と最前線で接して、体内への侵入を防いでいる。小腸陰窩基底部に存在するPaneth細胞は抗菌ペプチドα-defensinを豊富に含む細胞質顆粒を管腔側へ分泌して病原体を排除することで腸管自然免疫に寄与していることが知られている。しかし、腸内への病原体侵入をどのように感知して、α-defensinを分泌するかというリガンドセンシングから分泌応答に至るPaneth細胞による自然免疫応答の全体像は未だ明らかになっていない。本年度は小腸上皮細胞の三次元培養系であるenteroidを用いた腸上皮カルシウム動態の可視化評価系を確立し、サルモネラ生菌が腸内へ侵入してきたときのリガンドセンシング細胞同定に迫った。具体的には蛍光カルシウムセンサーGCaMP6ノックインマウスの小腸からenteroidを作出し、その内腔へサルモネラ生菌をマイクロインジェクションにより導入することで、細胞間カルシウム伝播を介して、Paneth細胞内カルシウム濃度上昇が引き起こされ、顆粒が分泌した。次に、サルモネラ生菌侵入によって引き起こされる細胞間カルシウム伝播の起点となるリガンドセンシング細胞を同定するために、不可逆的に細胞内カルシウム濃度上昇細胞を可視化できる蛍光カルシウムセンサーCaMPARI2発現enteroidにサルモネラ生菌を導入した。その結果、導入後にサルモネラ菌に応答した上皮細胞をラベルすることに成功した。この細胞はPaneth細胞顆粒分泌応答の起点すなわち、体の外からの病原菌侵入を体内へ伝える媒介としての役割を担っていると考えられる。以上より、細胞内カルシウム動態を指標として腸内における病原菌感染時の上皮-上皮細胞コミュニケーションによる自然免疫応答の解明に進展する知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は腸内の病原菌侵入からPaneth細胞顆粒分泌に至る情報伝達経路を、カルシウムイメージングを主体とした可視化評価系を用いて解析したことで、腸上皮細胞からみた粘膜免疫システムの解明に向けて研究実施計画通りに進んでいる。本年度は病原菌センシングにより活性化して細胞内カルシウム濃度上昇を引き起こした上皮細胞を不可逆的にラベルすることで、細胞間カルシウム伝播による病原菌侵入刺激をPaneth細胞へ伝達する起点となるリガンドセンシング細胞の解析を可能とした。病原菌侵入に対する上皮間情報伝達によって制御されるPaneth細胞顆粒分泌応答を明らかにしたことで、上皮細胞を起点とした腸管粘膜免疫システムの解明に向けて来年度以降の進展が大きく期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は細胞間カルシウム伝播により病原体侵入刺激がPaneth細胞へ伝達する分子メカニズムおよびセンサー細胞を同定し、Paneth細胞顆粒分泌応答の誘導に関わる情報伝達経路の全貌を解明する。また、Paneth細胞顆粒分泌の細胞内シグナル伝達経路を、各種ノックアウトマウスを用いて明らかにする。さらに、上皮―上皮下細胞間伝達経路の可能性も検討する。これらによって、腸上皮細胞が連携した腸内粘膜免疫システムを明らかにし、上皮細胞をターゲットとした腸内環境制御による様々な疾患の予防戦略の確立に貢献する。
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