研究課題/領域番号 |
21K15477
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小林 実 東北大学, 大学病院, 助教 (40885547)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ABCC3 / MRP3 / 大腸癌 / 家族性大腸腺腫症 / デオキシコール酸 / Wntシグナル / MAPKシグナル / FAP / DCA / NSAIDs / 活性酸素種 / ROS |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではFAPの発癌抑制効果が期待されるNSAIDsがWntシグナルを抑制すること、ABCC3がROSの排出トランスポーターとして働くことに着目し、NSAIDsがWntシグナルの抑制を介してABCC3の発現を亢進させる可能性を検証、さらにはABCC3の発現に伴う細胞内ROS濃度の変化が大腸癌発癌過程に与える影響を明らかにすることを目的とする。そのために、NSAIDsによるWntシグナルとABCC3の発現制御機構の解明とABCC3の発現に伴う細胞内ROS濃度の変化、さらにはROS濃度の変化がMAPKシグナルや腫瘍形成能に与える影響を、in vitro/in vivoの研究で検証する。
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研究成果の概要 |
FAPの臨床検体、ならびに公開されているデータベースを用いて実験を行った結果、FAPの腺腫においてABCC3の発現が低下していることを明らかにした。次に、ABCC3の発現変化が細胞内のDCA濃度に与える影響を検証した結果、ABCC3の発現変化に伴って蛍光標識したDCAの細胞内濃度が変化することを明らかにした。さらに、DCAによって発癌シグナルであるMAPKシグナルが活性化されること、その活性化はABCC3の発現によって影響を受けることを示した。また、FAPの発癌抑制効果が示唆されているNSAIDsがABCC3の発現を亢進させることを確かめた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の結果から、FAPの腺腫においてABCC3の発現が低下することで、細胞内にDCAが蓄積し、それにより発癌シグナルであるMAPKシグナルが活性化することが示唆された。大腸癌の発癌過程におけるこれらの変化は、これまで報告されておらず、新規発癌機構の解明に繋がることが期待される。また、NSAIDsはABCC3の発現を亢進させることで、DCAの細胞内濃度の低下を介して発癌を抑制する働きをする可能性がある。この結果は、NSAIDsのFAPに対する新たな発癌抑制機構の存在を示唆するものであり、今後この機構を詳細に解明することによって新規発癌抑制戦略に繋がる可能性がある。
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