研究課題/領域番号 |
21K15482
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
佐藤 拓輝 金沢大学, がん進展制御研究所, 特任助教 (20781173)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | HGF / MET / がん転移ニッチ |
研究開始時の研究の概要 |
本課題は、HGFの転移微小環境における機能について解析を行うものである。 HGFの受容体であるMET に対する分子標的治療薬として、Capmatinib とTepotinib が既に承認されている。今後適応症例が拡大すれば、HGFが形成する転移微小環境は診断・治療の両面から標的となる可能性がある。 本研究課題はトランスレーショナルリサーチの基盤を確立することを目指し、実施する。
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研究実績の概要 |
がんを治療困難にする原因は転移であり、克服のための転移メカニズムの全容解明は、がん基礎研究の解決すべき課題である。近年、scRNA seq技術の登場により、細胞間相互作用の重要性や、転移を促す細胞集団の特定が急速に進んでいる。一方、タンパク質の翻訳後修飾などの遺伝子発現を介さない変化に関しては、十分に解析が進んでいない。 肝細胞増殖因子(HGF)は、前駆体として細胞外に分泌され、生体内に広く分布している。一方、創傷部やがん微小環境などの特異な生体内環境において、セリンプロテアーゼによってその一部が切断・活性型へと変換され、細胞表面に存在する受容体METに結合・活性化し、生理機能を発揮する。そのため、HGFの活性制御および METの活性化は、遺伝子発現だけでなく、プロテアーゼ活性によっても規定される。 最近申請者らは、転移先臓器における特異的ながん微小環境(前転移ニッチ:Pre-metastatic niche)の形成過程において、HGFの活性化が重要な役割を担っている可能性について明らかにした。このことは、タンパク質の分子内切断という翻訳後修飾の過程が、前転移ニッチ形成に寄与していることを示唆している。さらに、HGFには液性因子を介した全身性の活性制御機構が存在することも示しており、腫瘍生物学のみならず、生理学的にも興味深い知見を含んでいる。本課題では、この現象のメカニズム並びに生理現象としての普遍性の検証を目的に遂行される。 当該年度は、肺線維化モデルを用いたHGF-METシグナルの変化の検出、ならびにリン酸化プロテオーム解析を用いたHGF-METシグナル以外の変化について網羅的な解析に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
肺線維化モデルならびにリン酸化プロテオーム解析に関して、実験系の立ち上げ・解析条件の検討を行っている。当初の予定より難航し、評価・解析に関しては当該年度中に終了しなかったため、本年度以降に引き続き進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでのデータを論文化し公表する準備を行う。 前年度から実施している線維化モデルの解析・プロテオーム解析も並行して行う予定だが、順調に進まない場合、実験の受託や新たな共同研究先との連携も含めて検討する。
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