研究課題/領域番号 |
21K15485
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
喜安 佳之 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (70898460)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | CXCR2 / CCR1 / 大腸癌 / KRAS / colon cancer |
研究開始時の研究の概要 |
腫瘍微小環境に集簇する骨髄由来細胞は抗腫瘍免疫を低下させ腫瘍の増殖転移に寄与していると様々な癌腫で報告され、その集簇を阻害する目的でケモカイン受容体阻害薬の臨床研究が従来の化学療法に上乗せする形で膵癌や悪性黒色腫に対して行われている。しかし大腸癌を対象とした研究はまだ報告も少ない。 また、新規治療である免疫チェックポイント阻害薬は大腸癌では比較的効果が少なく、有効な対象の検索と相乗効果を担う治療法の開発が日夜行われている。この点において大腸癌の約半数を占め、抗EGFR抗体に耐性を持つKRAS変異大腸癌を対象としたケモカイン阻害薬の開発と抗PD-1抗体との相乗効果の検証は臨床的意義が非常に高い。
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研究実績の概要 |
CCR1, CXCR2両者についてヒトのデータとしてTCGAとGEPIAのデータベースを参考に大腸がんにおいてCXCR2のLigandであるCXCL1、CXCL3、 CXCL5、CXCL7、CXCL8とCCR1のリガンドであるCCL15が発現が高いことを確認した。また自施設において代表的なリガンドであるCXCL1と8とCCL15の発現が高い大腸がんは予後が悪い傾向にあることをELISAで確認した。 マウスの細胞株においてCXCL1と、マウスにおいてCCL15に対応するCCL9の発現を確認した後にマウスの皮下腫瘍と肝転移モデルによってCXCR2陽性とCCR1陽性細胞がMMP2、MMP9、VEGFといった腫瘍促進に関わる遺伝子を発現していることを蛍光免疫染色で確認した。 CXCR2ノックアウトマウスにおいて皮下腫瘍モデル、肝転移モデル両方で腫瘍の増殖抑制作用を確認し、さらにCCR1ノックアウトマウスとCXCR2ノックアウトマウスからダブルノックアウトマウスを作成し、両モデルにおいてダブルノックアウトによる上乗せ効果があることを確認した。またこのサンプルの免疫染色で骨髄球だけではなくCD8陽性リンパ球、抑制T細胞に有意差があることを確認した。 腫瘍抑制の機序として遊走能に着目し、Conditioned Mediumの中で好中球の遊走能を調べる実験でCCR1、CXCR2をダブルノックアウトにすることで大きく遊走能が低下することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の背景であったKRAS変異大腸癌における腫瘍微小環境の評価と、CCR1, CXCR2阻害による免疫機能の改善については、変異させたMC38の増殖が非常に強く、評価が困難であると判断した。
しかしparentalのMC38であってもCXCR2による腫瘍増殖抑制効果を皮下腫瘍モデル、肝転移モデルによって確認した。さらに両者の上乗せ効果をCCR1、CXCR2ダブルノックアウトマウスも作成し確認することができた。抗体実験によっても確認した。フローサイトメトリーによってダブルノックアウトマウスの骨髄球上のCCR1とCXCR2の分布を確認し、蛍光免疫組織染色、遊走能実験を行った。
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今後の研究の推進方策 |
CCR1の阻害に加えてCXCR2の上乗せ効果があることをin vitro, vivoで確認することができたため、現在論文執筆中。
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