研究課題/領域番号 |
21K15503
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
市川 彩花 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教 (70869106)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
|
キーワード | 乳がん / がん微小環境 / 転写制御 / 細胞増殖 / ErbBシグナル伝達系 |
研究開始時の研究の概要 |
乳がんの発症部位となる乳腺組織の周囲にはコラーゲンなどの細胞外マトリックス(Extracellular Matrix : ECM)が多く存在しており、乳がんの発症、症状の悪化の原因の一つとしてECM密度の増加による組織の「硬化」が挙げられている。しかし、ECMの硬化具合(量)が細胞の増殖能をどのように調節するのかといったシグナル伝達系や転写制御の理解は進んでいない。本研究では、ECMの硬さを受け取る細胞膜-細胞骨格領域でのシグナル伝達の調節が下流の転写因子の調節をどのように変え乳がんの増殖率に影響を与えるのか、そのメカニズム全容の解明を目指す。
|
研究成果の概要 |
本研究課題では、細胞外マトリックスの硬化具合、乳がんの悪性化、サブタイプ分類に関係するErbB2受容体シグナル伝達系に着目し、細胞周期エントリーまでの転写制御を含めた分子機構および細胞周期阻害剤の感受性に与える影響を明らかにした。細胞周期レポーターを用いた生細胞観察データの解析と、エピゲノム、トランスクリプトームのオミクス解析を組み合わせ、ErbB2の過剰発現量を変えた乳がん細胞株を用いて検証した。その結果、ErbB2を介したc-Mycとcyclin D1の比率の変化がどのようにCDK4阻害剤への感受性を変えるのか、そのメカニズムの一端を明らかにした。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ErbB2の発現量が比較的低いLuminal Aサブタイプ内において、局所的に観察されるErbB2の発現量の違いがどのように細胞周期制御の分子機構を調節するのか、その詳細なメカニズムは不明であった。本研究課題では、ErbB2、c-Myc、cyclin D1の発現量の比率の関係が、細胞周期の進行を制御し、細胞周期阻害剤処理後の増殖率を判定する上で重要な指標となる可能性を示した。また、乳がん細胞における細胞外マトリックス(ECM)の硬化は、ErbB2の発現量の変化と繋がっているため、今後、ECMの硬化具合がどのように細胞周期状態に影響し、薬剤応答性を変化させるのか、その予測に役立てることができる。
|