研究課題/領域番号 |
21K15507
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 九州大学 (2023) 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター) (2021-2022) |
研究代表者 |
木下 郁彦 九州大学, 大学病院, 助教 (20875794)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 原発性肺癌 / 肺腺癌 / 腫瘍微小環境 / Interleukin / Interleukin-38 / 腫瘍関連好中球 / 腫瘍関連マクロファージ / 肺癌 / 免疫療法 / 腫瘍随伴マクロファージ / Inteleukin-38 / PD-L1 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、IL-38を標的とした新たな肺癌の治療法の開発を探求することである。 IL-38は2001年に発見された新しいサイトカインであり、IL-36シグナル系を阻害することで、抗炎症作用を示す。 我々は過去の研究で、IL-38が腫瘍へのCD8陽性リンパ球浸潤を抑制することで、腫瘍の形成を促進することを報告した。また、肺腺癌において腫瘍細胞でのIL-38高発現が免疫チェックポイント分子であるProgramed cell death ligand 1 (PD-L1)の発現と相関することを報告した。 本研究ではマウスモデルを用いて、IL-38を標的とした新規治療法を開発するための基礎的検討を行う。
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研究成果の概要 |
我々は肺腺癌切除症例209例を対象に免疫組織化学染色にてInterleukin (IL)-38発現と腫瘍関連好中球(TANs)、腫瘍随伴マクロファージ(TAMs)を評価した。また、動物実験ではIL-38強制発現肺癌細胞株を用いてマウス皮下腫瘍モデルを作成し、腫瘍内のTANs、TAMsを評価した。肺腺癌切除症例においてIL-38高発現は有意にTANs及びTAMs高浸潤と関連していた。動物実験においても、IL-38強制発現によってTANsとTAMsの浸潤が増加した。IL-38によってTANs、TAMsの浸潤が誘導されることが明らかとなり、IL-38が肺癌の治療標的となる可能性が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
免疫チェックポイント阻害薬の登場によって、原発性肺癌を含む多くの悪性腫瘍の治療成績が向上するとともに腫瘍微小環境への注目が高まった。我々は本研究において、2001年に発見された新規サイトカインのInterleukin (IL)-38の腫瘍微小環境における意義を研究した。本研究では臨床検体を用いた実験と動物実験を行い、IL-38によって腫瘍関連好中球(TANs)、腫瘍随伴マクロファージ(TAMs)の浸潤が誘導されることが明らかとなった。IL-38の原発性肺癌の腫瘍微小環境における役割がさらに明らかとなって新規免疫療法の開発に繋がれば、肺癌の治療成績が向上することが期待される。
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