研究課題/領域番号 |
21K15527
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
成田 翔子 (野田翔子) 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (20819312)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 血液脳関門 / ペリサイト / FAK / 脳転移 / 神経血管ユニット |
研究開始時の研究の概要 |
脳転移は、体幹部の転移とは異なる進展様式を呈し、また、がん患者のQOL、生命予後に大きな影響を及ぼす。本研究では脳自体の構造的特徴である血液脳関門(BBB)に着目し、脳転移に与える影響を解析する。BBBの制御機構である神経血管ユニットはアストロサイト/ペリサイト/血管内皮細胞から構成される。これらの細胞において血管透過性や転移浸潤に関わるとされる因子の遺伝子操作を行い、がん細胞によって引き起こされる微小環境の変化を解析することで、脳転移に共通してみられる神経血管ユニットの変化を分子生物学的に解明する。
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研究実績の概要 |
脳血管ではアストロサイト、ペリサイト、血管内皮細胞からなる血液脳関門が存在し、血管から脳実質への物質透過、免疫細胞の遊走、腫瘍細胞の浸潤を制御している。本研究では、がん細胞が脳へ転移浸潤する際に、血液脳関門がどのようにこれを制御し、脳転移を抑制または亢進しているかを明らかにすべく、血液脳関門を培養細胞で再構成したin vitroモデルと血管内皮特異的なfocal adhesion kinase(FAK)のノックアウトマウスで転移浸潤の評価を行なっている。 血液脳関門の培養細胞による再構成系では、アストロサイトと血管内皮細胞による系が腫瘍分野の主流となっていたが、本研究ではペリサイトも加えた3種の培養細胞による再構成系でのがん細胞の浸潤の解析を実現し、評価系を確立した。これにより、アストロサイト、ペリサイトががん細胞の転移浸潤を抑制できることを見出した。また、がん細胞株の種類によってはペリサイトは転移に促進的に働くことも見出した。 血管内皮特異的なFAKのノックアウトマウスでは、これまで体幹部の転移が減少することが報告されていた。本研究では同マウスの脳転移を解析するため、脳転移しやすいがん細胞株の作成、マウスの全脳透明化により3Dで脳転移の数、サイズを解析する手法の確立を行った。この手法を用いて解析を行ったところ、血管内皮特異的なFAKのノックアウトマウスにおいては脳転移が増加することを見出しており、現在はその機序の解明を行っている。 引き続き、in vitro/in vivoの解析系を組み合わせることで、血液脳関門の構成細胞ががん細胞の転移浸潤をどのように制御しているのか明らかにしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vitro系、in vivoの系ともにより優れた実験系の確立が必要と考え、それぞれ系の改善を行ったため、ペリサイト/アストロサイトのがん細胞の転移抑制、促進に関わる因子の同定に関しては少し遅れている。しかし、血管内皮特異的なFAKノックアウトマウスの脳転移の解析はほぼ終了しており、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
血液脳関門を培養細胞で再構成したin vitroモデルを用いて、アストロサイト、ペリサイトの転移抑制、および促進因子の同定を進めると共に、がん細胞株の種類によってペリサイトの転移への作用が異なる機序をがん細胞株の発現解析などもふまえて、明らかにする。血管内皮特異的なFAKのノックアウトマウスにおける脳転移の増加については、体幹部と結果が異なることから、in vitroモデルも組み合わせながら、この機序の解明を進める。
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