研究課題/領域番号 |
21K15534
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
山尾 宣暢 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特定研究員 (70836337)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 高血糖 / 膵がん / がん関連線維芽細胞(CAFs) / YAP/TAZ / がん微小環境 / 抗がん剤抵抗性 / Hyperglycemia / 膵癌 / CAFs / 腫瘍微小環境 / 癌関連線維芽細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
癌の微小環境を形成するメカニズムにおいて癌関連線維芽細胞(CAF)は癌細胞の癌悪性度ならびに細胞外マトリックスの蓄積や腫瘍免疫の抑制に関与し、様々な多様性(heterogeneity)を有することも注目されている。多くの固形癌において腫瘍抑制系シグナルHippopathwayの破綻による下流の転写因子(YAP/TAZ)の発現上昇が報告されているが、YAP/TAZを介したCAFのheterogeneityに関する研究は皆無であり本研究は極めて独創的である。得られる研究成果は腫瘍間質をターゲットとした分子標的の創出につながり臨床的意義は大きいと考えられる。
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研究成果の概要 |
我々は膵がんにおける高血糖状態とYAP/TAZシグナルを軸とした腫瘍細胞進展のメカニズムを明らかにした。in vitro実験にて腫瘍細胞株における高血糖状態がYAP/TAZタンパクの発現を介して抗がん剤抵抗性を示すことを確認した。マウスを用いたヒト細胞株の皮下および同所移植実験にて高血糖状態が腫瘍サイズの増大をもたらすことを認めた。また、高血糖状態においてYAP/TAZ阻害剤を用いることで腫瘍細胞のみならず腫瘍細胞周囲の繊維化を抑制し、がん進展抑制に寄与する可能性が示された。以上より膵がんにおいて高血糖状態がYAP/TAZシグナルを介してがん進展制御に寄与することが解明された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
世界における死亡率第4位である膵がんは、根治切除後も再発率が高く予後不良であり、有効な化学療法や分子標的治療薬も限られている。近年、免疫チェックポイント阻害薬の開発は幅広い固形癌の治療成績向上に寄与してきたが膵がんにおいてはその適応は非常に限られている。YAP /TAZシグナルはがん細胞のみならずがん細胞周囲の微小環境においても浸潤・転移といった癌悪性度に寄与することが注目されており、今回我々が解明した高血糖状態におけるYAP /TAZシグナルを介したがん進展メカニズムは膵がんおよびがん微小環境をターゲットとした新規治療薬の開発に寄与することが期待される。
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