研究課題/領域番号 |
21K15536
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
大村 学 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (20516182)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 甲状腺癌 / イメージング / 腫瘍免疫 / バイオマーカー / 甲状腺濾胞癌 / 免疫組織化学 / 画像定量化技術 |
研究開始時の研究の概要 |
様々な癌種で癌細胞の腫瘍内不均一性と腫瘍組織内に存在する免疫細胞の組成や性質が、癌の進展や治療抵抗性と関わることが知られてきた。本研究では、甲状腺濾胞癌被膜浸潤部に着目して、組織内免疫細胞分布のマッピングを通じて、癌の進行に関わる免疫的機序を解析し、甲状腺濾胞癌の早期診断や発癌機序の解明に寄与する組織バイオマーカーの確立を目的とする。
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研究実績の概要 |
様々な癌種で癌細胞の腫瘍内不均一性と腫瘍組織内に存在する免疫細胞の組成や性質が、癌の進展や治療抵抗性と関わることが知られてきた。我々はこれまでに、1切片から12種類のエピトープを免疫組織化学で解析できるmultiplex immunohistochemistry (IHC)ならびにその画像定量化技術image cytometryを初めて開発し、1枚の切片から定量化可能な10種類の免疫細胞の組成や性質・分布を統計解析することで、癌の亜分類や予後と相関する腫瘍の免疫的性質を報告してきた。この手法を用いて、我々はこれまでに、甲状腺乳頭癌において腫瘍組織内部の免疫特性が周囲非癌部と異なることや、病理学的侵襲性と骨髄系免疫細胞の細胞密度に相関がみられることから、甲状腺癌の発生・進行に免疫的機序が関与する可能性を報告してきた。本研究では、甲状腺濾胞癌被膜浸潤部に着目して、組織内免疫細胞分布のマッピングを通じて、癌の進行に関わる免疫的機序を解析し、甲状腺濾胞癌の早期診断や発癌機序の解明に寄与する組織バイオマーカーの確立を目的とする。令和4年度は甲状腺濾胞癌症例21例において多重免疫染色ならびにデジタル画像解析による定量化し、濾胞癌巣内と周囲非癌部における免疫的微小環境を比較して得られた知見をもとに、Validation cohort60例で知見の再現性を確認した。これらの研究成果の一部がModern Pathology誌へ採択され、和文総説1編、American Association for Cancer Research Annual Meeting 2022での国際学会発表、第123回日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会、第46回日本頭頸部癌学会国内学会、第81回日本癌学会学術総会での国内学会発表にて報告された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度に予定していたDiscovery cohortにおける染色・解析が予定通りに進行した。
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今後の研究の推進方策 |
・濾胞癌形成に関わる免疫的微小環境因子の探索的検討:本研究課題では、比較的まれな濾胞癌に対して有数の検体量を確保しているが、本疾患が比較的予後良好で臨床病理学的因子と相関が得られにくい可能性を考慮して、下記の探索的検討も行う。 ・免疫細胞同士や腫瘍細胞と免疫細胞の位置関係:本手法では細胞の位置情報を単一細胞レベルで検討することが可能であるため、免疫細胞間や、癌細胞と各種免疫細胞の距離が解析可能である。申請者たちはこれまでに森林学の統計手法であるpair correlation解析を用いて、免疫細胞間の距離を統計的に解析する試みを報告している(Tsujikawa et al. Cancer Science 2020)。本研究課題においても本解析を適応し、濾胞癌の周囲、具体的には20 μm未満の周囲に存在する細胞種の同定を通じて癌細胞周囲で形成される微小環境を探索する。
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