研究課題/領域番号 |
21K15539
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
白濱 仁深 公益財団法人がん研究会, がん化学療法センター ゲノム研究部, 研究員 (20838552)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | フェロトーシス / 細胞密度 / SCD / 脂肪酸代謝 / 脂質代謝 / メラノーマ / カルシウムシグナル / Ca2+シグナル |
研究開始時の研究の概要 |
細胞死の一形態であるフェロトーシスには、複数のがん種およびがん種特有な性質が関連していることが知られている。一方で最近、細胞の密度が上がるとフェロトーシスが起こりにくくなる例が複数報告され、注目を浴びている。この現象は、体内で転移するがん細胞が凝集すると細胞死を回避しやすくなることを示している可能性がある。そこで、この細胞死回避を防ぐためにメカニズムの解明が求められている。 申請者の予備的検討では、小胞体におけるカルシウムイオン放出が関与していることが示唆された。そこで本研究では、カルシウムを介したシグナル伝達と密度依存的なフェロトーシスに関する機序解析を行い、治療応用への可能性を検討する。
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研究成果の概要 |
近年、細胞密度の上昇に伴ってがん細胞がフェロトーシスに抵抗性を示す例が複数報告されているが、その機序は未知の部分が多い。本研究では、予備的検討の結果を踏まえて、まずカルシウムを介したシグナル伝達に着目した検討を行った。一方で、低/高細胞密度を比較したオミクス解析からは、高細胞密度における脂肪酸代謝、特にSCDの亢進が示唆された。実際に複数のメラノーマ細胞株で、細胞密度上昇に伴うSCDの亢進を認めた。さらに、SCD阻害によるフェロトーシス誘導剤への感受性化は、細胞密度の高さに応じて認められた。以上より、高細胞密度におけるフェロトーシス抵抗性に寄与する分子の一つとしてSCDを同定した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
フェロトーシスは比較的最近報告された細胞死の一形態であり、転移性メラノーマをはじめ、複数のがん種がフェロトーシスに脆弱性を示すことから、治療への応用が期待されている。他方で、高細胞密度でフェロトーシス抵抗性があらわれるという報告は、メラノーマのような細胞がひとたび凝集するとフェロトーシス誘導戦略が有効でなくなることを示唆している。本研究ではこの密度依存的なフェロトーシス抵抗性のメカニズム解析に焦点を当て、オミクス解析と生化学実験を通じてSCDがフェロトーシス抵抗性における中心的な役割を果たしていることを明らかにした。この成果は、メラノーマにおける新たながん治療戦略へと繋がることが期待できる。
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