研究課題/領域番号 |
21K15540
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
佐々木 崇晴 順天堂大学, 大学院医学研究科, 非常勤講師 (60779718)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 食物抗原 / 消化器腫瘍 / 腸管免疫 |
研究開始時の研究の概要 |
腸は様々な食物の成分や腸内細菌に曝されており、これらと腸の免疫細胞との相互作用が生体の恒常性維持に重要である。韓国の研究グループや申請者のこれまでの研究から、食物に含まれる10kDa以上の比較的大きな分子「食物抗原」が腸のリンパ球誘導に重要であるとともに、消化器腫瘍を抑制することが分かった。その機構解明の糸口として、食物抗原によって誘導されるリンパ球が腸の胆汁酸シグナルを制御する可能性を示唆するデータを予備的に得た。胆汁酸は消化器腫瘍の悪化に働くことが知られている。そこで本研究では、食物抗原が誘導するリンパ球と胆汁酸シグナルとの関係性を解析し、食物抗原が消化器腫瘍を抑制する機構解明を目指す。
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研究実績の概要 |
これまでに、消化器腫瘍を自然発症するAPCminマウスを用いて、食物抗原が小腸腫瘍の発生を抑制する研究結果を得ていた。また、食物抗原による小腸腫瘍抑制にパイエル板という免疫誘導組織が関与していることも見出した。次の課題として、食物抗原がどのようにパイエル板における免疫細胞の誘導を行っているのか、そのメカニズムを追う点が残されている。 これまでの報告から、腸内に存在する腸内細菌などの巨大抗原がパイエル板表面を覆う上皮細胞であるM細胞からパイエル板に取り込まれ、免疫系の誘導に働くことが知られている。このため、本研究でもM細胞から食物抗原が取り込まれるのか調べることにした。ループアッセイという手法を用い、食物抗原に相当する分子量をもつ卵白アルブミンがM細胞から取り込まれる可能性について検証したところ、M細胞からの卵白アルブミン取り込みを示唆する実験結果を得た。それとともに、卵白アルブミンはM細胞を介してパイエル板の樹状細胞に受け渡されることを示す実験結果も得ることができた。すなわち、本研究結果は小腸に存在する食物抗原がM細胞を介してパイエル板に取り込まれ免疫系の誘導に働く可能性を示唆するものである。 昨年度は当初の研究計画から方向性を転換せざるを得ない状況となったが、APCminマウスを用いた研究に切り替えることによって、食物抗原による消化器腫瘍抑制機構を解明する本来の目的に合致する研究を引き続き継続することが可能となった。今後は食物抗原による小腸の免疫系の誘導にM細胞がどの程度関与しているのかについて検証を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最初の研究計画から方向性を転換したものの、消化器腫瘍を自然発症するAPCminマウスを用いた研究により本来の目的と合致する研究に発展しつつあるため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は食物抗原による腸の免疫系誘導にパイエル板のM細胞が関わっているか検証を行うとともに、食物抗原がパイエル板の免疫細胞誘導に対してどの程度の影響があるのか検証を行っていく。
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