研究課題/領域番号 |
21K15541
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
田中 広祐 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, 主任研究員 (50894119)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ミトコンドリアDNA / EGFR阻害薬 / EGFR遺伝子変異 / cGAS-STING / がん免疫療法 / 自然免疫応答 / Cold to Hot Tumor / EGFR遺伝子変異肺がん / カスパーゼ阻害 / Cold to Hot tumor |
研究開始時の研究の概要 |
免疫チェックポイント阻害薬は新たな標準治療となっているが、免疫原性の低いがんで効果が乏しいことが課題として挙げられる。本研究はミトコンドリアDNAに着目したがんの免疫原性を高める新たなコンビネーション治療の開発を目的とする。特定の分子標的薬によりミトコンドリアDNAの細胞質内への漏出を引き起こし、cGAS-STING経路が活性化した。このメカニズムを多がん腫に応用することで免疫チェックポイント阻害薬への感受性を高めることが期待できる。
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研究成果の概要 |
免疫チェックポイント阻害薬は長期奏功例が10-20%で認められ、多がん種において新たな標準治療として確立している。一方で免疫原性の低いがんでは効果が乏しい。免疫原性が低いとされるEGFR変異型肺がんにおいて「EGFR+カスパーゼ阻害薬」の併用治療がミトコンドリアストレスを誘導し、免疫原性を高めることを本研究で明らかにした。その効果はミトコンドリアDNA(mtDNA)を起点としたcGAS-STING経路の活性に依存する。さらに同種同系マウスモデルにおいて同併用治療が免疫学的な治療効果を示した。以上よりmtDNAダイナミクスをターゲットとし免疫原性を高める新たながん免疫複合療法の有効性が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は個体の持つ本来のがん免疫を活性化することで効果を発揮するが、多くの症例において耐性を示す。がん細胞内の免疫応答を刺激することによりICIが効きにくい腫瘍(Cold Tumor)を効きやすい腫瘍(Hot Tumor)に転換できることが分かっており、「Cold to Hot Tumor」を狙った様々な免疫複合療法が現在試みられている。本研究では分子標的薬でミトコンドリアストレスを誘導することにより免疫原性を高められることが分かり、mtDNAダイナミクスをターゲットとした「Cold to Hot Tumor」を促す新たながん免疫複合療法の治療応用が期待できる。
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