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ヒストンメチル化酵素阻害による抗腫瘍効果とviral mimicryの解析

研究課題

研究課題/領域番号 21K15556
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
研究機関札幌医科大学

研究代表者

佐々木 基  札幌医科大学, 医学部, 訪問研究員 (30784441)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワード多発性骨髄腫 / ヒストン修飾 / エピゲノム標的治療 / エピゲノム / EZH2 / G9a / viral mimicry
研究開始時の研究の概要

本研究目的を達成するため、以下の解析を行う。
1.各臓器のがん細胞に対するEZH2/G9a阻害の抗腫瘍効果を明らかにする。
2.がん細胞におけるEZH2/G9aの標的遺伝子をゲノム網羅的に解析する。
3.がん細胞においてEZH2/G9aと相互作用するタンパク質を探索する。
4.EZH2/G9a発現の臨床病理学的重要性を検証する。
5.インターフェロン応答誘導のメカニズムとその有用性を明らかにする。

研究実績の概要

ヒストンH3K27メチル化酵素(GSK126またはEPZ-6438)およびヒストンH3K9メチル化酵素G9a阻害剤(UNC0638またはUNC0642)の抗腫瘍効果をin vitroおよびin vivoで検証した。それぞれ単剤および併用で骨髄腫細胞を処理し、cell viabilityアッセイ、アポトーシスアッセイ、細胞周期アッセイにより増殖抑制効果を検証した。その結果、複数の細胞株においてGSK126・G9a単剤よりも両者の併用が高い増殖抑制効果を示した。また腫瘍細胞をGSK126・UNC0538で処理し、免疫不全マウスの皮下に移植した結果、コントロール群と比較して顕著な腫瘍形成抑制効果が認められた。
多発性骨髄腫の臨床例におけるEZH2およびG9a (EHMT2)発現の臨床病理的重要性をGene Expression Omnibusのデータベース(GSE6477、GSE5900、GSE4581)を用いて検証した。EZH2およびEHMT2の発現は臨床病期の進行に伴って発現上昇が認められた。またEZH2・EHMT2の発現上昇は予後不良と相関した。これらの結果から、EZH2・EHMT2は多発性骨髄腫の進展や悪性化に関与することが示された。
これまでの解析から、EZH2・G9a阻害が免疫応答およびインターフェロンシグナルを活性化するとともに、MYCやIRF4など骨髄腫の生存に必要なシグナルを抑制することを見出している。今年度はEZH2・G9a阻害がエピゲノムに与える影響を解析するため、ヒストンH3K27トリメチル化(H3K27me3)およびヒストンH3K9ジメチル化(H3K9me2)をクロマチン免疫沈降シークエンス(ChIP-seeq)により解析した。その結果、内在性レトロウイルス領域におけるこれらのヒストン修飾の低下を見出した。ERV-I、ERV-Fc2、envW、HML-2など代表的な内在性レトロウイルス発現を定量RT-PCRにて解析した結果、EZH2・G9a阻害によりこれらが発現誘導されることを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

EZH2とG9aの共阻害による抗腫瘍効果を、in vitroおよびin vivo実験から明らかにすることができた。抗腫瘍効果のメカニズムとして、インターフェロン応答の活性化、増殖シグナルの抑制、アポトーシスの誘導があることを明らかにすることが出来た。またEZH2とG9aの臨床病理的な重要性を明らかにすることができた。さらにEZH2とG9aの共阻害がヒストン修飾(H3K27me3、H3K9me2)に与える影響を網羅的に解析し、内在性レトロウイルス領域の活性化が誘導されることを明らかにすることができた。

今後の研究の推進方策

EZH2とG9aの抗腫瘍効果に関して、解析を継続する。EZH2とG9aの共阻害によるインターフェロン応答のメカニズム解明のため、共阻害が細胞のトランスクリプトーム・エピゲノムに与える影響を網羅的に解析する。またEZH2とG9aの共阻害が内在性レトロウイルスの発現に与える影響を解析する。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (11件)

すべて 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件)

  • [雑誌論文] Serum amyloid A1 recruits neutrophils to the invasive front of T1 colorectal cancers.2023

    • 著者名/発表者名
      Yoshido A, Sudo G, Takasawa A, Aoki H, Kitajima H, Yamamoto E, Niinuma T, Harada T, Kubo T, Sasaki H, Ishiguro K, Yorozu A, Kai M, Katanuma A, Yamano HO, Osanai M, Nakase H, Suzuki H.
    • 雑誌名

      J Gastroenterol Hepatol.

      巻: 38 号: 2 ページ: 301-310

    • DOI

      10.1111/jgh.16055

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書 2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Immunoglobulin G4-related autoimmune hepatitis simultaneously concomitant with autoimmune pancreatitis: a case report2021

    • 著者名/発表者名
      Yokoyama Yoshihiro、Akutsu Noriyuki、Numata Yasunao、Okuda Keiko、Morita Rena、Masaki Yoshiharu、Sasaki Hajime、Suzuki Ryo、Yabana Takashi、Arimura Yoshiaki、Kondo Yoshihiro、Nakase Hiroshi
    • 雑誌名

      Clinical Journal of Gastroenterology

      巻: 14 号: 6 ページ: 1740-1745

    • DOI

      10.1007/s12328-021-01509-0

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Dual EZH2 and G9a inhibition suppresses multiple myeloma cell proliferation by regulating the interferon signal and IRF4-MYC axis.2021

    • 著者名/発表者名
      Ishiguro K, Kitajima H, Niinuma T, Maruyama R, Nishiyama N, Ohtani H, Sudo G, Toyota M, Sasaki H, Yamamoto E, Kai M, Nakase H, Suzuki H.
    • 雑誌名

      Cell Death Discovery

      巻: 7 号: 1 ページ: 7-7

    • DOI

      10.1038/s41420-020-00400-0

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 多発性骨髄腫においてDOT1L阻害は自然免疫シグナルを活性化する.2023

    • 著者名/発表者名
      石黒一也,北嶋洋志,新沼猛,丸山玲緒,塚原智英,粂川昴平,関口翔平,佐々木基,甲斐正広,仲瀬裕志,鈴木拓.
    • 学会等名
      第16回日本エピジェネティクス研究会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 多発性骨髄腫においてDOT1L阻害は自然免疫シグナルを活性化し,免疫調整津薬の効果を増強する.2023

    • 著者名/発表者名
      石黒一也,北嶋洋志,新沼猛,丸山玲緒,塚原智英,廣橋良彦,粂川昂平,関口翔平,佐々木基,甲斐正広,鳥越俊彦,仲瀬裕志,鈴木拓.
    • 学会等名
      第82回日本癌学会学術総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 大腸鋸歯状病変のDNAメチル化は正常大腸粘膜の抑制的なヒストン修飾と相関する.2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木拓,山本英一郎,須藤豪太,青木敬則,久保俊之,佐々木基,新沼猛,北嶋洋志,甲斐正広,山野泰穂,仲瀬裕志,菅井有.
    • 学会等名
      第82回日本癌学会学術総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 多発性骨髄腫においてDOT1L阻害は自然免疫シグナルを活性化し、免疫調節薬の効果を増強する.2023

    • 著者名/発表者名
      石黒一也, 北嶋洋志, 新沼猛, 丸山玲緒, 塚原智英, 廣橋良彦, 粂川昂平, 関口翔平, 佐々木基, 甲斐正広, 五十嵐哲祥, 鳥越 俊彦, 仲瀬裕志, 鈴木拓.
    • 学会等名
      第85回日本血液学会学術総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 大腸粘膜の抑制的ヒストン修飾はCIMP陽性の大腸腫瘍リスクと相関する.2022

    • 著者名/発表者名
      山本英一郎,須藤豪太,久保俊之,原田拓,佐々木基,青木敬則,北嶋洋志,新沼猛,甲斐正広,山野泰穂,菅井有,仲瀬裕志,鈴木拓.
    • 学会等名
      第81回日本癌学会学術総会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] エピジェネティック阻害剤のGIST細胞におけるエピゲノム修飾,遺伝子発現への影響の統合解析.2021

    • 著者名/発表者名
      吉戸文乃,須藤豪太,北嶋洋志,新沼猛,甲斐正広,原田拓,佐々木基,久保俊之,仲瀬裕志,菅井有,鈴木拓.
    • 学会等名
      第80回日本癌学会学術総会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 新規頭頸部癌関連long non-coding RNAの同定と機能解析.2021

    • 著者名/発表者名
      新沼猛,北嶋洋志,畠中柚衣,関口翔平,萬顕,久保俊之,佐々木基,原田拓,甲斐正広,仲瀬裕志,鈴木拓.
    • 学会等名
      第80回日本癌学会学術総会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] DOT1L阻害は乳がん細胞のトランスクリプトームおよびエピゲノムシグネチャーを変化させる.2021

    • 著者名/発表者名
      鈴木拓,丸山玲緒,北嶋洋志,新沼猛,石黒一也,粂川昴平,吉戸文乃,佐々木基,山本英一郎,甲斐正広,仲瀬裕志.
    • 学会等名
      第80回日本癌学会学術総会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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