研究課題/領域番号 |
21K15560
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
森川 あすか 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (50569530)
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研究期間 (年度) |
2021-02-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 腟細菌叢 / 卵巣がん / 相同組換え修復異常 / 子宮内膜症 / 閉経後 / 膣細菌叢 / マイクロバイオーム / 細菌叢 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、1)さらに多数の卵巣癌患症例の子宮頚部細菌叢を解析してこれまでの知見を確証すると同時に、2)卵巣癌患者の手術及び分子標的薬による治療後に経時的な子宮頚部-膣細菌叢解析を行い、子宮頚部-膣細菌叢の卵巣癌の病態における重要性を明らかにすることを目指す。3)またさらに、BRCA遺伝子変異を含む相同組換え修復異常(HRD)と子宮頚部-膣細菌叢の関係を解明することを目指す。
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研究実績の概要 |
申請者は、16S rRNA 法による細菌叢解析により、卵巣癌患者の子宮頚部細菌叢は健常者のものと異なっていることを見出した。(A Morikawa et al,Gene2022)一般に閉経を迎えるとLactobacillus属が減少し、多様性に富んだ細菌叢に遷移することが知られている。卵巣癌患者の子宮頚部細菌叢検体では、その大多数で閉経後健常者と同じくLactobacillus属が減少し、多様性に富んだ細菌叢構造が観察され、これは閉経の有無によらなかった。欧州では卵巣癌患者の子宮頚部細菌叢解析が大規模に行われ(Nene NR et al, 2019 lancet oncol)、同様の結果が示されていると共に卵巣癌が発症していないBRCA遺伝子変異を有する健常人も卵巣癌患者同様の細菌叢パターンであることも報告された。本研究では、1)さらに多数の卵巣癌患症例の子宮頚部細菌叢を解析してこれまでの知見を確証すると同時に、2)卵巣癌患者の手術及び分子標的薬による治療後に経時的な子宮頚部-腟細菌叢解析を行い、子宮頚部-腟細菌叢の卵巣癌の病態における重要性を明らかにすることを目指す。3)またさらに、BRCA遺伝子変異を含む相同組換え修復異常(HRD)と子宮頚部-腟細菌叢の関係を解明することを目指す。4)また、子宮内膜症患者の0.7%から卵巣癌が発生することから子宮内膜症患者の膣細菌叢を経時的に解析を行う。途中経過において上記のような子宮内膜症に特化した変化は認められなかった。 現時点では腟細菌叢の解析方法の再検討およびリクルートする症例の最終検討および検体回収方法を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
未閉経の卵巣癌患者が閉経後健常人の腟細菌叢と類似している結果を得ることができ、論文化を果たした。一方で卵巣癌のうち、明細胞腺癌および類内膜腺癌の発生母地として子宮内膜症が存在することは既知の事実である。子宮内膜症の腟検体からは上記の変化は認められなかった。現在は漿液性腺癌卵巣癌患者の層別化の臨床データまたは検体確保の段階である。
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今後の研究の推進方策 |
卵巣癌の原因遺伝子として知られているBRCA1/2遺伝子は相同組換え修復機構に関与しており、BRCA1/2病的バリアントはHRDを引き起こす。それ以外にもHRDは様々な原因で起こるとされている。以上のことより卵巣癌においてHRD陽性の症例の腟細菌叢検体を解析し、変化を検討する予定である。また、閉経後健常者の腟細菌叢検体との更なる比較も計画している。
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