研究課題/領域番号 |
21K15562
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
中山 淳 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 外来研究員(特別研究員PD) (30801237)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | scRNA-seq / DCIS / 浸潤性乳管がん / 非浸潤性乳管がん / 腫瘍内不均一性 / 定量的ネットワークトポロジー / VARIED / 乳がん / HER2陽性乳がん / 1細胞解析 / 乳癌 / 不均一性 |
研究開始時の研究の概要 |
非浸潤性乳管がん(DCIS)は非常に早期のがんであるが、DCIS患者の予後には大きな差異があり、DCISは腫瘍間不均一性に富む病態組織である。このDCISが浸潤性乳管がん(IDC)に移行する”DCIS to IDC仮説”として2つのモデルが提唱されているが、どちらが正しいモデルであるか未解明のままである。本研究は、DCIS検体の1細胞発現解析を行い、DCIS組織の不均一性を明らかにする。独自に開発した定量的ネットワークトポロジー解析手法を用いて、DCIS不均一性を定義し、”DCIS to IDC仮説”を検証する。また、同一検体を用いた組織学的検証を行い、DCIS予後診断マーカーを同定する。
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研究成果の概要 |
本研究は、非浸潤性乳管がん(Ductal Carcinoma in situ, DCIS)検体に対するscRNA-seq解析を行うことで、DCIS組織中の不均一性を明らかにし、浸潤性乳管がん(IDC)への移行に重要ながん細胞集団や遺伝子を同定した。加えて、”DCIS to IDC仮説”の検証を行った。 その結果、DCISに特徴的な遺伝子をシングルセルレベルで抽出することに成功した。さらにVARIED法を適用することで、DCIS細胞はIDC細胞と比較して多様性に富む組織であることがわかったことから、DCIS to IDC仮説は不均一進化モデルであることを示唆する結果を得た。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
DCIS検体を用いたscRNA-seqによって、DCIS内のルミナル上皮細胞の多様性を示すことができた。また、今回の結果からDCISの多様性を理解することは、乳がんの進展を理解する上で重要であることが示された。さらに、新た不均一性解析手法、VARIED法の開発によって、不均一性を定量的に議論することが可能となった。今回の結果から、DCISはIDCとほぼ同等の腫瘍悪性化ポテンシャルを保持しており、ほとんどがんに近い状態であることが示された。過剰治療が問題となっている非浸潤性のDCISだが、実際には浸潤性がん細胞と同様の性質を持つことを考慮して、新たな治療戦略を構築する必要があるだろう。
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