研究課題/領域番号 |
21K15563
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
椎野 翔 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (60784527)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 乳癌 / シングルセル解析 / 腫瘍内不均一性 / マイクロRNA |
研究開始時の研究の概要 |
乳癌では、原発巣のホルモン受容体(HR)発現割合が転移巣で低下する(HR陰転化)現象がみられる。治療抵抗性の癌細胞と癌幹細胞によって、転移巣内で新たに“不均一性”が形成される為と考えられるが、詳細な機序は未解明のままである。一方、マイクロRNA(miRNA)が、HR発現や乳癌幹細胞を制御することが報告されている。本研究では、miRNAが同現象の制御に関与するかをシングルセルRNAシークエンス解析を用いて検証する。
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研究成果の概要 |
自施設内で解析したシングル細胞遺伝子発現データと公共データベース内に登録されている各データセットを統合し、HER2陽性乳癌およびLuminal乳癌の腫瘍内不均一性に関する遺伝子発現の調査を行った。クラスター解析において、乳癌関連遺伝子の不均一な分布が確認された。ERBB2高発現群・低発現群において、遺伝子発現レベルが異なる結果であり、ある種のmicroRNAがERBB2発現の上流制御因子として予測された。各症例別のCSCマーカー、EMTマーカー、転移関連マーカーの遺伝子発現は、各症例間で異なった。遺伝子発現の不均一性は、腫瘍内のみならず各患者間においても生じ得る可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
乳癌に対する治療の抵抗性一因として腫瘍内不均一性の形成は重要視されているが、まだその解明と克服には至っていない状況である。HER2陽性乳癌およびLuminal乳癌を対象としたシングル細胞遺伝子発現解析を主体とした本研究において、腫瘍内における遺伝子発現レベルが各細胞間で異なること、さらには症例間でも遺伝子発現の不均一性が認められる可能性が見出された。乳癌の治療にあたる上で、将来的に腫瘍本来の不均一な性質に基づいた治療を展開していく必要性があるのみならず、各患者の遺伝子発現の特徴にも応じたテーラーメイド的な治療が将来的に治療抵抗性の克服を考慮する上で必要になる可能性が示唆された。
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