研究課題/領域番号 |
21K15567
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
平松 寛明 名古屋大学, 医学系研究科, 研究員 (70827253)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ATLL / CCR4 / モガムリズマブ / ケモカイン受容体 / 抗体医薬 / T細胞リンパ腫 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒト化抗CCR4モノクローナル抗体、モガムリズマブは、日本発の抗体医薬であり、T細胞リンパ腫の治療薬として世界中で使用されている。近年、成人T細胞性白血病リンパ腫 (ATLL)腫瘍細胞のCCR4遺伝子にC末端欠損変異が生じている約30%の症例では、モガムリズマブ治療による5年生存率が、同種造血幹細胞移植に匹敵、あるいは凌駕するものであることが報告された。本研究では、T細胞リンパ腫においてCCR4遺伝子のC末端欠損変異が高頻度に生じる原因と、モガムリズマブ感受性に繋がる分子制御メカニズムの解明により、モガムリズマブの効果を革新する治療法の開発を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、ATLL患者におけるモガムリズマブ投与前後の遺伝子変異の解析を行った。治療前に約30%の症例で生じているC末端欠損型CCR4がリガンド依存的に抗アポトーシスシグナルを伝達していることを見出し、C末端欠損型CCR4と特異的に結合している可能性のあるタンパク質を複数同定した。モガムリズマブ治療中に抵抗性が生じたATLL患者において、治療後にのみCCR4遺伝子変異が生じていることを見出した。その中で、膜貫通領域に変異を持つCCR4は、CCR4と結合する小分子化合物の添加により細胞表面の発現と、モガムリズマブの細胞傷害活性を回復させられたことから、今後の併用薬としての可能性が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、CCR4のC末端欠損変異は、正常T細胞に対しても生存に対する優位性を付与することのできる細胞内シグナルを生じさせている可能性が示された。この結果は、ATLLの発症にかかわるシグナルの一端の解明に寄与するものである。また、モガムリズマブ耐性にかかわるCCR4遺伝子変異の耐性化の機序と、それを克服できる可能性のある小分子化合物を発見した。この成果は、将来のモガムリズマブとの併用薬の開発につながることが期待され、ATLL治療法の改善に資する成果である。
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