研究課題/領域番号 |
21K15568
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
作田 智彦 広島大学, 病院(医), 助教 (60878289)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 悪性腫瘍 / 骨肉腫 / 腫瘍溶解性ウイルス / カーボンナノチューブ / VSV |
研究開始時の研究の概要 |
骨肉腫に対して、なるべく低侵襲で患肢機能を温存する治療が望まれるが、組織の温存範囲が大きくなるほど腫瘍細胞の残存による再発が懸念され、治療の侵襲性と根治性との間にはトレードオフの関係が存在する。 そこで本研究では、水疱性口内炎ウイルス(vesicular stomatitis virus; VSV)の高い腫瘍溶解能力とカーボンナノチューブによる光温熱効果に着目し、これらの機能を併せ持つ新たな低侵襲治療の開発を行う。本研究で治療を遂行した際の骨肉腫に与える抗腫瘍効果について解明を行い、さらに腫瘍辺縁切除を追加することによって、腫瘍原発巣の完全根治と高い患肢機能温存の両立を実現させることを目指す。
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研究実績の概要 |
VSVによる腫瘍溶解効果とCarbon nanotubes (CNT) による光温熱療法を組み合わせによる骨肉腫に対する腫瘍殺傷効果を調べた(VSV+CNT群)。 In vivoで6週齢C3Hマウスの背部にマウス骨肉腫細胞LM8(1 X 107 cells)を移植し (day0)、骨肉腫マウスモデルを作成した。LM8移植後1週後 (day7) にVSV及びCNT溶液を局注して近赤外線レーザーを1日あたり10分間、連続7日間照射し、その後 (day14) 腫瘍を辺縁切除して腫瘍体積及びマウス死亡後の局所再発、遠隔転移、生存期間を確認した。比較対象としてVSV単独注射群(VSV群)、CNTによる光温熱療法単独群(CNT群)、未治療群でも腫瘍体積、局所再発、遠隔転移、生存期間を評価した。腫瘍体積についてはVSV+CNT群は他の3群と比較して腫瘍体積は小さい傾向にあった。局所再発についてはVSV+CNT群に局所再発例はなかった。遠隔転移と生存期間については4群間で有意差はなかった。VSVによる腫瘍溶解効果とCNTによる光温熱療法を組み合わせは原発巣縮小をもたらし、さらに辺縁切除での局所再発の減少に寄与する可能性があることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度の研究計画調書の予定は概ねすべて完了した。 具体的には骨肉腫マウスモデルを作成してVSV+CNTを局注して、近赤外線照射及び腫瘍辺縁切除を行い、腫瘍体積、局所再発率、遠隔転移率、生命予後を評価した(VSV+CNT群)。VSV単独投与群(VSV群)、CNT単独投与群(CNT群)、未治療群についても同様の評価を行い、比較解析した。
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今後の研究の推進方策 |
今後追加でカーボンナノチューブを購入する必要は出てくると思われるが、現在保有している設備にて研究を続行可能である。 引き続き研究計画調書の予定通りすすめていく。 具体的には骨肉腫マウスモデルを作成し、CNT及びVSV+CNTによる抗腫瘍治療後、腫瘍の周囲組織(周囲軟部組織、肝、腎、腸、肺、心蔵)を摘出して標本(HE標本)を作成し、組織学的に炎症細胞浸潤や組織壊死率を評価して安全性について確認する。
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