研究課題/領域番号 |
21K15571
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
森 瞳美 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (70795541)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | ER陽性乳癌 / アロマターゼ阻害剤耐性 / エストロゲン受容体 / シングルセル解析 / エストロゲン療法 / DHT / 乳癌 / バイオマーカー |
研究開始時の研究の概要 |
女性ホルモンであるエストロゲンは、エストロゲン受容体(ER)を介してホルモン依存性乳癌の増殖を促進する。閉経期においては、酵素であるアロマターゼが副腎由来のアンドロゲンをエストロゲンに誘導するため、アロマターゼは閉経期乳癌の治療ターゲットとなっている。しかし近年、アロマターゼ阻害剤(AI)耐性乳癌の予期しない結果として、エストロゲンによる腫瘍抑制効果が報告されている。通常のエストロゲンで増殖するホルモン依存性乳癌と、エストロゲンで腫瘍退縮を認める乳癌とをシングルセル解析を用いて比較し、エストロゲン療法有効群を特定するバイオマーカーの開発に取り組みたいと考えている。
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研究成果の概要 |
ER陽性乳癌に対し、エストロゲン治療後のESR1+/ ESR1-両細胞の遺伝子発現プロファイルを比較した。エストロゲン刺激型 (SC31)およびエストロゲン抑制型(GS3)の患者由来異種移植片モデルを用いたシングルセル解析を行った。エストロゲンは、ERαを活性化しESR1+細胞を刺激するが、ER+癌においてESR1-細胞の増殖にも影響を及ぼすことを初めて示した。E2はGS3のみで腫瘍抑制遺伝子IL24を誘導した。E2治療後のIL24+細胞では、アポトーシス関連遺伝子発現が増加した。IL24の発現が、E2療法適応患者の選択および治療効果予測のバイオマーカーになる可能性を示唆した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
内分泌療法を選択する際、必ずしもER100%陽性である必要はないが、ホルモン依存性乳癌のER-細胞に関する情報はほとんどない。エストロゲン療法の有用性・安全性は確立していないため、日本の乳癌診療ガイドライン2022年版では、治療として推奨されていない。エストロゲンが乳癌の退縮を誘導するメカニズムを解明し、ER陽性閉経後乳癌、AI耐性症例の中でエストロゲン治療の効果が期待できる症例を予測するバイオマーカーを特定することができれば、既存の薬剤でAI耐性再発乳癌患者を救うことが可能となる。本研究ではIL24がバイオマーカーになる可能性を示唆し、今後エストロゲン療法の適応をしぼる一助になると考える。
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