研究課題/領域番号 |
21K15574
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
尾崎 有紀 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (20791502)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ferroptosis / フェロトーシス / 非小細胞肺癌 / 肺癌 / 免疫チェックポイント阻害薬 |
研究開始時の研究の概要 |
新しい細胞死の経路として注目されているferroptosisは鉄依存性の脂質酸化依存的細胞死であり,近年,免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) による癌細胞の細胞死との関連が注目されている.ICIは今や肺癌治療の主軸の1つであるが,そのバイオマーカーについては未だ解明されていない.ICIによる細胞死にferroptosisが関与しているとすれば,ferroptosisが起こりやすい細胞環境・体内環境を確認することで,バイオマーカーを見出すことができる可能性がある.今回我々は肺癌におけるferroptosisの位置付けから,ferroptosisと治療薬の効果の関連性について明らかにしたい.
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研究実績の概要 |
非小細胞肺癌の手術検体における腫瘍部分のFFPE切片を用いて,シスチン輸送体SLC3A2・SLC7A11,GPx4やFSP1およびNFS1,CD8について免疫組織学的染色を行った.約120検体について染色しており,随時評価を行っている. 現在40例までの解析が終わっており,年齢中央値70歳,男女比は5:3,喫煙歴を有するのは29例(72.5%),組織型は腺癌28例(70.0%),扁平上皮癌8例(20.0%),その他4例(10.0%)であった.病理学的ステージは0-1期が32例(80.0%),2-3期が6例(15.0%),4期が2例(5.0%)であった.脂質特異的な抗酸化物質GPX4はより高齢の方が発現している傾向がみられた(p=0.0493).シスチン輸送体の一部であるSLC3A2は扁平上皮癌に多く発現し(p<0.0001),鉄硫黄クラスター生合成酵素NFS1は腺癌で多く発現していた(p=0.0177).いずれのタンパクについても喫煙やステージとの関連性について有意差は認められなかった.タンパク発現の有無による生存曲線では,SLC3A2が発現している群(p=0.0091)およびNFS1が発現していない群(p=0.0237)で予後不良であった. また,免疫チェックポイント阻害薬による治療を行ったあと,手術により検体を採取している症例についても同様の項目について免疫染色を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度1〜9月に,研究責任者が出産のため産前産後休業および育児休暇を取得したため研究が一時中断された.
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今後の研究の推進方策 |
非小細胞肺癌の手術症例でのferroptosis関連分子と予後や臨床的因子との関連性について評価・解析しまとめる.こちらはこの時点での学会発表を予定している. 続いて免疫チェックポイント阻害薬による治療を行った非小細胞肺癌症例での治療前後のferroptosis関連分子と臨床的因子について評価し,術前治療の有無でferroptosis関連分子にどのような違いがあるのかを確認・考察する. さらに肺癌生細胞を用いてフローサイトメトリーや蛍光アッセイを行い、鉄イオンや過酸化脂質の評価を行っていく。 特徴的な結果が得られれば適宜学会等での発表を行っていく。
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