研究課題/領域番号 |
21K15585
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
篠原 悠 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 特任研究員 (10787047)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 急性骨髄性白血病 / 中鎖脂肪酸 / エネルギー代謝 / 標的分子同定 / 創薬 / 慢性骨髄性白血病 / 薬剤耐性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、NRAS変異により耐性を獲得した急性骨髄性白血病(AML)に対して、シード化合物である中鎖脂肪酸誘導体の結合分子と抗白血病効果の作用メカニズムとの関連性を明らかにし、薬剤耐性の克服に有用な新たな薬剤の創出を目指した基礎研究を行う。 次世代シークエンス解析により中鎖脂肪酸誘導体によるNRAS発現制御機構を明らかにする。また、細胞内のエネルギー代謝変動をフラックスアナライザーおよびメタボローム解析にて検証し、中鎖脂肪酸誘導体によるエネルギー代謝破綻の根拠を得る。さらに、AMLモデルマウスに中鎖脂肪酸誘導体を投与し、薬効を評価するとともに動物モデルにおける作用メカニズムを確認する。
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研究実績の概要 |
これまでの研究で、中鎖脂肪酸誘導体は標的分子Xの機能を抑制することでAML細胞の増殖を抑制していることが示唆された。 中鎖脂肪酸誘導体は正常な細胞に対しては増殖抑制効果を示さないことから、分子Xの発現もしくは機能がAML細胞特異的である可能性が示唆された。分子Xの発現をRNAおよびタンパク質レベルで解析した結果、分子XはAML細胞で高発現していることが明らかになった。さらに、分子Xの機能を解析するために酵素活性の測定を行い、AML細胞では分子Xの酵素活性が高く、正常細胞と比較すると約10倍の差があることを明らかにした。また、正常細胞に対して中鎖脂肪酸誘導体を作用させても分子Xの酵素活性阻害は認められなかった。 分子Xの特異的な阻害剤はこれまでに報告がないが、非特異的な競合的阻害剤はいくつか報告されている。そこで、中鎖脂肪酸誘導体とこれらの阻害剤を作用させたAML細胞および正常細胞で分子Xの酵素活性と殺細胞効果を検証した。いずれの化合物もAML細胞特異的に分子Xの酵素活性を阻害し、殺細胞効果を示したが、既報の阻害剤が100 μM以上の濃度で殺細胞効果を示すのに対し、中鎖脂肪酸誘導体は1 μMでも殺細胞効果が認められ、AMLに対する創薬シーズとしてより適していると考えられた。 以上の結果から、中鎖脂肪酸誘導体はAML細胞特異的に分子Xの機能を阻害することで抗白血病効果を示していることが明らかになった。
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