研究課題/領域番号 |
21K15594
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
遠藤 翔 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (20801749)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 小胞体ストレス / UPR / 膵星細胞 / ERAP2 / 膵癌 / 癌微小環境 / PSC / ERストレス / 化学療法抵抗性 / 膵癌間質 / オートファジー / 治療抵抗性 |
研究開始時の研究の概要 |
発癌から転移に至る過程の間、腫瘍組織に存在する細胞は、発癌遺伝子の活性化や代謝環境の変化など種々の内的及び外的ストレスにさらされている。この環境下で細胞では小胞体ストレスが過剰となり、Unfolded Protein Response(UPR)が活性化し,小胞体内腔に蓄積した異常タンパク質を折り畳むことで細胞死から防御する。ここでは、膵癌間質中でUPR活性の高い膵星細胞が、膵癌の化学療法抵抗性に関与していると仮説を立てた。この機序の解明により、小胞体ストレス経路を標的とした治療との併用が依然停滞を続ける化学療法奏功率の改善につながると考えられる。
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研究成果の概要 |
ヒト膵癌組織から樹立したPSC (活性化PSC)と非膵癌組織から樹立したPSC (非活性化PSC)の遺伝子発現解析を行ったところ、活性化PSCでは小胞体 (ER)関連遺伝子群の発現が有意に高かった。そこで、PSCにおいてER関連遺伝子であるERAP2を抑制したところ、ERストレス応答の低下を介してPSCの活性化が抑制されることが分かった。さらに、マウスモデルを用いた治療実験では、PSCのERAP2を抑制することで腫瘍縮小と抗癌剤感受性上昇をもたらすことが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
膵癌において間質標的治療の有望性を示唆する報告は多数あるが、実臨床に向けての治療法はまだ確立されていない。これまでの報告の多くが癌細胞のストレス応答に関与するものであったが、本研究では膵癌に特徴的な豊富な間質細胞における小胞体ストレス反応経路が膵癌の進展や既存治療に対する抵抗性に寄与することを明らかにした点で学術的意義は大きい。また、膵癌における間質標的治療の新たなターゲットとしてERAP2を同定したことで、今後の膵癌新規治療法の開発の一助となる可能性もあり、新規治療法の開発が急務である膵癌治療において、本研究の果たす社会的意義も大きい。
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