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シアリダーゼNEU3を標的とした肺腺癌に対する新規治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K15600
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
研究機関埼玉医科大学

研究代表者

山本 晃司  埼玉医科大学, 保健医療学部, 講師 (50767150)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
キーワード肺腺癌 / ガングリオシド / 形質膜シアリダーゼ / EGFR / 細胞運動能 / 形質膜シアリダーゼNEU3 / 分子標的薬
研究開始時の研究の概要

細胞はがん化すると細胞表層の糖鎖に異常が生じる。特に、糖鎖の末端にあるシアル酸の異常は転移や浸潤と深く関わる。シアル酸量調節の鍵酵素の1つがシアリダーゼである。4種のヒトシアリダーゼのうち、形質膜に主に局在するNEU3は各種の固形癌で発現が上昇し、がん細胞の悪性形質を助長していることが明らかとなっている。

この背景にあって、最近申請者は、肺腺癌でもNEU3の発現が上昇し、抗インフルエンザ薬のNEU3阻害作用によりEGFR-TKIの細胞でもその悪性形質が抑制されることを見出した。

本研究では、NEU3を標的にした肺腺癌における(1)悪性形質の抑制、(2)腫瘍抑制効果について明らかにする。

研究実績の概要

ヒトシアリダーゼは、従来の糖鎖の初期分解に関わるリソソーム酵素の役割だけでなく、各種の固形癌において浸潤や転移などのがん細胞の悪性形質に深く関わる。形質膜シアリダーゼNEU3は各種の固形癌で発現が異常亢進し、EGFRやSrcなどのシグナル分子と相互作用することでがん細胞の運動能や浸潤能を亢進させ、悪性形質を助長させることが明らかとなっている。本研究では、肺腺癌細胞株の3種を用いて解析を行ったところ、EGFRの変異の有無によりヒトシアリダーゼのうちNEU3のmRNAレベルの発現が上昇することがわかってきた。また、EGFRの変異を有する細胞では、NEU3の活性が亢進した。更にそれらの細胞では、EGFRシグナリングをNEU3自身がチロシンリン酸化を受けることで活性化し、ポジティブフィードバック機構によりNEU3の発現が上昇することが示唆された。このNEU3を阻害剤により抑制すると、チロシンリン酸化や運動能を抑制することから分子標的薬耐性の肺腺癌細胞における新たな標的分子として期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

一部、試薬や備品の納期が遅れている為、実験計画を後ろ倒しで進める必要があり、少し遅れが生じている。特に遅れが生じた糖脂質解析については、研究期間を延長し解析を継続する予定である。

今後の研究の推進方策

肺腺癌細胞において形質膜シアリダーゼNEU3がEGFR変異を有する細胞で発現が上昇し、特に薬剤耐性株の細胞で発現が亢進している点が大変興味深い。また、肺腺癌ではCo-ドライバージーンとして知られているc-Srcの活性化にNEU3が関与していることが示唆された。しかし、その活性化機序はEGF存在下と非存在下では異なっており、EGF刺激を行うとEGFR/Ras経路が有意に活性化するがSrcについては逆に抑制された。SrcについてはEGFRからのシグナル伝達に由来するMAPKの活性化も考えられるが、バイパス経路からのシグナルを増強することでがん細胞の運動や浸潤などの悪性形質を助長していることも考えられる。今後は、複数のシグナル伝達経路に関与するSrcの活性化とNEU3の動態を解析することで、癌の悪性度の指標となるか詳細に解析を行う予定である。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (9件)

すべて 2024 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] Sialidase NEU3 Contributes to the Invasiveness of Bladder Cancer2024

    • 著者名/発表者名
      Tatsuta Takeo、Ito Jun、Yamamoto Koji、Sugawara Shigeki、Hosono Masahiro、Sato Makoto、Miyagi Taeko
    • 雑誌名

      Biomedicines

      巻: 12 号: 1 ページ: 192-192

    • DOI

      10.3390/biomedicines12010192

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Sialidase NEU3 and its pathological significance2022

    • 著者名/発表者名
      Miyagi Taeko、Yamamoto Koji
    • 雑誌名

      Glycoconjugate Journal

      巻: 39 号: 5 ページ: 677-683

    • DOI

      10.1007/s10719-022-10067-7

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Sialidase NEU3 Contributes to the Invasiveness of Bladder Cancer2024

    • 著者名/発表者名
      Takeo Tatsuta, Jun Ito, Koji Yamamoto, Shigeki Sugawara, Masahiro Hosono and Taeko Miyagi
    • 学会等名
      The 144th Annual Meeting of the Pharmaceutical Society of Japan
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 肺腺癌における形質膜シアリダーゼNEU3の発現上昇とその生理学的意義2023

    • 著者名/発表者名
      中山 采音、上島 未莉、本田 佳連、村上 日向、山下 愛、山本 晃司
    • 学会等名
      第17回日本臨床検査学教育学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 形質膜シアリダーゼ活性阻害による肺腺癌細胞の運動能抑制効果2023

    • 著者名/発表者名
      飯野 帆南、新井 花菜、小野 夏実、堀内 俊佑、吉田 玲菜、山本 晃司
    • 学会等名
      第17回日本臨床検査学教育学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] gefitinib 耐性肺腺癌細胞における形質膜シアリダーゼの発現上昇とその生理学的意義2022

    • 著者名/発表者名
      粕谷真輝、石居郁人、岡野未優、山本晃司
    • 学会等名
      第16回日本臨床検査学教育学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 肺腺癌細胞における形質膜シアリダーゼNEU3とEGFRの関係性とその役割2021

    • 著者名/発表者名
      坂田楓果、佐藤麻央、野口愛莉、山本晃司
    • 学会等名
      第15回 日本臨床検査学教育学会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 肺腺癌細胞における形質膜シアリダーゼの活性阻害による癌悪性形質への影響2021

    • 著者名/発表者名
      梶田楓花、明神彩祐、山本晃司
    • 学会等名
      第15回 日本臨床検査学教育学会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] The activation of EGFR signaling by sialidase NEU3 and its physiological significance in human lung cancer2021

    • 著者名/発表者名
      Koji Yamamoto , Kohta Takahashi , Kazuhiro Shiozaki , Kazunori Yamaguchi, Hiroshi Shima, and Taeko Miyagi
    • 学会等名
      The 94 th Annual Meeting of Japanese Biochemical Society
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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